Coccoの歌声はなぜ“気迫”に満ちているのか 新作『プランC』と舞台活動から探る

 アルバムのリリースに至る背景にも、Coccoのバレエやダンスに対する情熱が大きな役割を果たしている。雑誌『papyrus』(2014年10月号)に掲載されたインタビューでは、Coccoはアルバムの制作のきっかけについて、こんな風に語っている。

 「ダンスをやりたいんだけど、パートナーがいないとできないから、山川っていう幼なじみにパートナーをやってってお願いしたら、やだって言われて。願い事を1個叶えてあげるから、一緒に踊るっていう私の願いを叶えてほしい、それを交換条件にしようって言ったら、ネギ(根岸孝旨)とレコーディングした曲を聴きたいって言うから、オッケー、そんなのすぐだよって。それですぐにネギに電話をして、ダンスするからレコーディングしようって言ってできたのが、「たぶんチャチャチャ」っていう曲」

 アルバムでは、デビュー以来の盟友でもあるその根岸孝旨が全13曲中10曲でサウンドアレンジを手掛けている。ラストの壮大なバラード「コスモロジー」はバンドSINGER SONGERでもステージを共にした堀江博久、そしてEDMテイストを導入した「パンダにバナナ」と「3D」は、西川貴教率いるabingdon boys schoolのメンバーでもある岸利至がサウンドアレンジを担当。軽快なダンスポップの「パンダにバナナ」はリード曲にもなり、このアルバムのキャッチーな新機軸を象徴している。

Cocco – パンダにバナナ 【MUSIC VIDEO】(short ver.)

 また、壮大なピアノバラードの「Snowing」は、11月8日から公開される柳楽優弥主演の映画『最後の命』の主題歌となることが決まっている。

「最後の命」 本予告編

 アルバムタイトルの『プランC』は、プランA(=第一希望)に対する第二希望、第三希望の意味合いがこめられているらしい。通らなかったプランAに固執するのではなく、プランCでも受け入れてやっていこうという思いがその背後にあるそうだ。ここからは深読みになるが、そもそもバレリーナになることが「プランA」だったCocco自身にとっても、自らの生き方や歩んできた道を肯定的にとらえた言葉になっているのではないだろうか?

 前述の『papyrus』のインタビューでは「最後にちゃんとありがとうと伝えないといけないなって」「そろそろ表舞台はいいんじゃないかなと思ってる」と引退も仄めかしていたCocco。しかし、生命力の迸りを感じさせるその無類の歌声は、まだまだ沢山の人たちに強く求められているはずだ。

 さらなる活躍を期待している。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

■リリース情報
『プランC』
発売:2014年10月8日
◆初回限定盤A
CD+DVD+写真集 「BEAUTIFUL DAYS」、スペシャルパッケージ仕様
¥5,500(税抜)
◆初回限定盤
BCD+DVD ¥3,500(税抜)
※特典DVDの内容は初回限定盤A,Bとも同じものになります
◆通常盤
CD ¥3,000(税抜)

〈収録曲〉
01. パンダにバナナ
02. ドロリーナ・ジルゼ
03. たぶんチャチャチャ
04. バスケット
05. ドレミ
06. BEAUTIFUL DAYS
07. 3D
08. 嘘八百六十九
09. Juliet
10. Snowing
11. スティンガーZ
12. ハミングバードと星の砂
13. コスモロジー

【初回限定盤DVD収録内容】
※初回限定盤A、B共通
01.パンダにバナナ (MUSIC VIDEO)

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