嵐・大野智の次なる飛躍とは? 音楽的キャリアから読む新たな方向性

 ダンスのクリエイション面でもまた、大野の才能は活かされている。ジャニーズきってのダンスの名手でもある大野は、2004年のソロ曲「TOP SECRET」以降、たびたび振り付けをこなしており、2013年のコンサート『ARASHI LIVE TOUR Popcorn』では、メイン振付師を務めるほどにまで成長している。ジャズダンス仕込みの流麗なステップ、ポッピングやロッキングといったストリートダンスのテクニック、そしてミュージカルで培った表現力を併せ持った独自のスタイルは、ジャニーズのみならず、広くJ-POPシーンにおいても評価に値するものだろう。嵐のステージングがアーティスティックな色を帯びているのは、大野のダンスに依るところも大きいはずだ。現在、ハワイ公演に向けて「筋トレを開始した」という大野がどんなパフォーマンスを繰り広げるのか、大いに期待したいところである。

 また、新作『THE DIGITALIAN』の仕上がりも気になるところである。昨今のジャニーズでは、SMAPが中田ヤスタカより楽曲提供を受けた『Amazing Discovery』を発表したり、山下智久が大沢伸一らを迎えたダンスアルバム『遊』をリリースしたりと、ダンス・エレクトロ系のクリエイターとのコラボが目立っている。世界的なEDMブームの中、満を持して嵐が打ち出す“デジタルとの融合”とは、いかなるものなのか。個人的には、アヴィーチーがレニー・クラヴィッツやナイル・ロジャースとコラボして、ジャンルや世代を越えた新鮮なサウンドを生み出したような革新を期待したいところ。そのためには、マイケル・ジャクソンやジャスティン・ティンバーレイクに音楽的影響を受けたという大野の存在がカギとなりそうだ。

(文=松下博夫)

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