嵐・二宮和也が作る曲はなぜ泣ける? 情感豊かな歌詞世界のルーツを辿る

 そんな二宮は、かつて音楽番組で「中学時代GLAYに憧れていて、JIROさんモデルのベースを持っていた」というエピソードを披露しており、メインストリームのポップスやロックを好んでいることが伺える。ライブなどでは、ゆずの「栄光の架橋」やコブクロの「ここにしか咲かない花」、BEGINの「涙そうそう」、GReeeeNの「キセキ」、そして坂本九の「明日があるさ」といったヒットナンバーのカバーも披露しており、彼が作る楽曲のルーツを垣間みることができる。ファンの多くは二宮の楽曲を「泣ける」「感動する」といった言葉で評しているが、そのエモーショナルで物語性に富んだ詞世界は、まさしく“日本の歌謡曲”の王道を行くスタイルであり、二宮ならではの表現力豊かな歌声と相俟って、多くの人々に届く作品となっているのではないだろうか。

 とかく俳優としての側面にスポットが当てられがちな二宮だが、その音楽的才能もまた注目に値するものがある。『硫黄島からの手紙』を観て、改めて二宮の魅力に気付いた方はぜひ、彼の作る音楽やその歌声にも耳を傾けてみてほしい。俳優・二宮和也とはまた違った魅力を発見できるはずだ。

(文=松下博夫)

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