ClariS、daoko、ラブサマちゃん...... 10代の女性ミュージシャンが増えている背景とは?

ラブリーサマーちゃん

 そして、このシーンの中でも天才との呼び声が高いのが、ラブリーサマーちゃん。浮遊感あふれるサウンドで人気の宅録系アーティストだ。インパクトありすぎな名前ではあるが、実のおじいさんが『見上げてごらん夜の星を』などで知られる作曲家・いずみたくという音楽一家に生まれたサラブレッド。現在では音楽家の芳川よしのとともにクラウドファンディングによってCD制作を行ったり、今年4月からはFor Tracy Hydeというバンドのボーカルに就任したりと多岐にわたって活躍中だ。(※現在、ラブリーサマーちゃんは19歳になっています)

ラブリーサマーちゃんと芳川よしの『moonlight』

 彼女たちに共通するのは、その出自にインターネットの存在が大きく関わっていること。そして、それによって幅広く注目される機会を得たことにある。しかし、それだけではなく、自己プロデュース能力に長けているところが最も大きいのではないだろうか。“10代の女の子である自分”という立ち位置に非常に意識的で、かつそれをきちんと自身の音楽に落とし込むことができる。これは、SNSを通じての自分発信が当たり前になったからこそ、若くして培われた能力なのだろう。この件に関してdaokoは、自身のブログで「自分が女の子だということも女子高生だということも全部ブランドだということを念頭に置きながら活動してます。女子高生に至っては期間限定なのでちょっと焦ります^!^」とコメントしている。おそらくこれはU-18のアーティストたちにとって共通の意識。その裏側には、自分たちをもてはやす大人への「おことわり」があり、また、自身の持つ世界観を誰にも邪魔されずに追求したいという欲求が隠されているように思える。

 日本では昔から“女子高生”とか“10代”という言葉の持つ破壊力が大きい。昨今のアイドルブームもまたしかりだ。若くて可愛らしいことは、それだけでひとつの偉大な才能なのである。自分の売り時を見極め、その流れを引き寄せることができる女の子たちのしたたかさ。そんなところにこそ、私たちはまんまと魅了されてしまうのだ。

(文=板橋不死子)

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