最新シングル『夏の情事』インタビュー

MONKEY MAJIKが語るハイブリッド音楽論「ポップスにはルールがなくて、生き物のように変わる」

「何年経っても『これはいいな』と思えるものを大事にしている」(メイナード)

――MONKEY MAJIKの楽曲は音へのこだわりが繊細ですよね。アコースティック楽器の響きを大切にした質感が、ある意味で洋楽的だなと感じます。

メイナード:たぶん、ヒットソングを狙っていないことが大きいと思います。ヒットさせよう思うと、型にはまってしまうというか。僕らは、何年経っても「これはいいな」と思えるものを大事にしているんです。もちろんヒットすればいいなと思うけど、曲のメロディに必要なプロダクションやサウンド、「ここはもっと汚くしよう」とか「きれいにしよう」くらいしか考えてない(笑)。あとは、音には本当にこだわってますね。レコーディングと同じ環境の音って、パソコンやイヤフォンでは聴けないでしょうけど、そのうちテクノロジーが追いつくと思います。例えば10年後とか、そういう音が聴けるようになるといいなって。

DICK:僕たちはまだいいけど、三味線なんてCDにするには向いてないよね。レンジが広くて、録りきれない。

メイナード:そうだね。三味線は大変だと思う。

――冒頭に2年前の北米ツアーの話が出ましたが、あらためてどんな経験でしたか?

DICK:楽しかったです。吉田兄弟といけたのはよかったね。

メイナード:向こうのファンは本当に熱くて、こんなに僕らの曲を歌えるんだと驚きました。日本とは逆で、やっぱり英語の部分になるとみんな歌えるんです(笑)。「CHANGE」なんかは、Aメロからみんな歌ってました。CDも売っていないし、まだiTunesでも配信していないのに、なんで僕らの曲を知っているのかな?なんて思ったけど、いろんな人種の人がいるのもうれしかった。日本に住んだことがある人も入れば、ネットで見つけてくれた人、友だちに教えてもらったという人もいて、どの国も、あんまり変わらない。東海岸でしかできなかったから、今度は西海岸でもやりたいですね。ロスやサンディエゴ、シアトルのほうがアジア文化もあるし、盛り上がると思う。

DICK:向こうはスーパーポップアイドルもいるけれど、マーケットがデカいから小さなバンドでも1000人以上のライブホールでできる。単純に自分の好きなものを探す、面白そうだから観に行く、という文化はいいなと思う。

――台湾公演が発表になりましたが、アジアも含めて今後も海外へのアプローチは続けていきますか?

メイナード:行けるときは行きたいですね。でも、やっぱり遠いから、これまでどおりのペースでCDを出しながら、1ヶ月もかかる海外ツアーは難しいところもあって。でも、行きたい。

DICK:こうやってたまに東京に出てきているし、時間を作りたいですね。

――仙台で生活して、1年に1作CDを出して…というリズムが定着していますよね。いまでも、メンバーで飲みに行ったりするんですか?

DICK:普通に飲みに行きますよ。

メイナード:でも、結局うちが好き(笑)。

――ちなみに最近、プライベートではどんな音楽を聴いていますか?

DICK:なんだろう。最近は映画音楽を聴いてますね。

メイナード:ラジオのゲストに大友康平さんがきてくださって、「キャロルってカッコいいんだよ」って教えてくれて。紹介してくれた曲がMIXまでカッコよかったし、これから聴きたいと思ってます。で、ビックリしたのが、浅井健一さんって昔の矢沢永吉さんにめっちゃ似てると思ったんですよ。あの声の高さとか、雰囲気。浅井さんが好きなので僕もキャロルはちゃんと聴きたいですね。キャロルは70年代とは思えない、進んだ音楽をやっていたと思う。

――楽曲制作についてはどうでしょうか? 自然に曲ができていくのか、それとも締め切りなどに合わせてペースを上げているのか。

メイナード:両方あります。締め切りでモチベーションを上げるのも大事だと思いますし。僕の場合、一番のモチベーションはツアーですね。「ツアーでたくさんの新曲を聴かせたい」と思うから、制作に力が入る。ただ、同じ曲をずっとやるのも好きなんですけどね。モータウンカフェみたいなところで、毎日同じように、定番の曲を歌うこともできると思う(笑)。とにかく、ライブはすごく楽しいです。

DICK:ライブは本当に大事だと思う。でも、先輩たちがいう通り、年々ライブの時間がちょっとずつ長くなっている気がするから、気をつけないと(笑)。

――9月13日の埼玉から、約3ヵ月ツアーがありますね。今回のツアーではどうでしょう?

メイナード:これまでに披露したことのない曲を届けたいと思います。今後リリースする曲を一足先にライブでできたらいいかな、と。

DICK:もし反応がいまいちならリリースをやめようか(笑)。

――9月にもシングルをリリース予定ということで、年内のアルバム発表にも期待が高まります。15周年に向けて盛り上がっていきそうですが、今後も変わらず、20年、30年とバンドを続けていくのでしょうか?

DICK:やめる理由がないし、できれば(笑)。

メイナード:ずっとやってきたので、これからもやっていけると思うんですけど。ただ、「何年」というゴールみたいな目標をもっていないですね。……最近よく思うのは「活動休止」ということの意味がわからないんですよ。解散ならわかるけど、なんで「休む」ことを発表するのかな。これ、日本だけですよね。

DICK:発表して1年やってから休む、っていうパターンもあるね。

メイナード: そうそう。今度、夏休みにカナダに帰るとき、活動休止って使おうか(笑)。それは冗談で、MONKEY MAJIKの場合、20周年は間違いなくいくと思いますね。あと5年は生きているつもりなので、ついてきてもらえたらうれしいな(笑)。

(取材・文=神谷弘一)

■リリース情報
『夏の情事』
発売:7月16日(水)
価格:CD+DVD ¥1,800(税抜)
   CDのみ ¥1,000(税抜)

<CD収録内容>
01.夏の情事
02.Change -FPM LEGENDARY HOUSE MIX-
03.夏の情事 -INSTRUMENTAL-

< DVD収録内容>
01.夏の情事 -Music Video-

『You Are Not Alone』
発売:9月10日(水)
価格:CD+DVD ¥1,800(税抜)
   CDのみ ¥1,000(税抜)

<CD収録内容>
01.You Are Not Alone
02.未定
03.You Are Not Alone -Instrumental-

< DVD収録内容>
01.You Are Not Alone -Music Video-

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