MAGUMI&THE BREATHLESS 新作『Demonstration』インタビュー(前編)
MAGUMIが明かす“新しい音楽”の作り方「リズムとメロディがうまく混ざると極上のものになる」
「レピッシュをずっとやってて、鍛えられたのはリズム」
――このバンドの特質が一番あらわれているのがタイトル曲の「Demonstration」ですね。スカ、サンバ、ラテン…いろんな音楽がミックスされた、文字通りのミクスチャーロックになっている。面白い曲ですね。
MAGUMI:一番最初にメンバーに、サンバのところを徹底的に練習させたんですよ。こういうふうに弾け!って。なんかね、自分のことしか考えられない人達が集まってるんですよ。バンド全体を客観的に見渡せるようなメンバーがいない。だからどうしても俺がまとめなきゃいけないってところがあって。どっちかというと指揮者的な感じでやってますね、このバンドでは。もともとが細かい人間なんで(笑)。どっちかというとね、レピッシュの時は俺が一番怒られてたんだけど、今は俺が怒ってばっかですからね(笑)。レピッシュをずっとやってて、鍛えられたのはリズムなんですよ。各メンバーがものすごくこだわってたんで、歌もそれに対応しなきゃいけないから。それも現ちゃん(故・上田現)は抽象的なことしか言わないし、とにかく宇宙ばかり見てる人で(笑)、雪好は逆にすごく具体的に「そこの16の裏で入ってくれないと困るんだよなあ」とか言ってるタイプで。その両方に対応してやってましたからね。いやでも鍛えられますよ(笑)。
――レピッシュで一番学んだのはリズムだと。MAGUMIさんの場合、メロディアスな楽曲を朗々と歌い上げるような面もある。そのバランスがMAGUMIさんの個性でもあると思いますが、リズムとメロディの兼ね合いについてはどう考えますか。
MAGUMI:リズムとメロディがうまく混ざった時に極上のものができるんじゃないかと自分では思ってるんですね。よく「そこは後ろ過ぎだよ〜」と言われるんですけど、「だいじょぶだいじょぶ、これはフィルと同じだから」って言ってるから(笑)。
――なるほど。そこはちゃんと計算してると。
MAGUMI:してますね。そうすることでよりメロディが際立つんです。
――なるほど。でもこれを聴いて、MAGUMIという人は非常に真面目できっちりした人だというのがよくわかりましたね。
MAGUMI:出てますかね?
――もちろんはちゃめちゃにふざけたところもあるんだけど、こと音楽を作るということに関してはストイックなまでに真面目だなと。
MAGUMI:(アルバムは)残るものですからね。そこにはすごく執念を燃やしたいかなというのがあって。レピッシュの時はあまり意識もしてなかったですけど、レピッシュみたいに安心して作れる態勢が崩壊すると、逆にそこは妙な執念が出てくる。こんなアルバムを最後にするわけにいかないよ、という。
――これが最後になっても悔いがないように。
MAGUMI:うん……でもこんな、50歳になるまでミュージシャンやってたら、やっぱ死ぬまで作るしかないかなと思いますよ。
――今さら後戻りできないもんね。
MAGUMI:ええ。
(後編【「いつも新しいものを探している」MAGUMIが語る自身の創作スタンスと、音楽シーンの今後】へ続く)
(取材・文=小野島大)
■リリース情報
『Demonstration』
発売:5月14日(水)
価格:¥3,000+税
<収録内容>
1. Beautiful World
2. Parting Dance
3. Q Dub
4. 死角のシルエット II
5. Electric Discharge
6. Demonstration
7. 砂の家
8. 水槽
9. Abracadabra
10. トルコ行進曲
11. Liar
12. Good Bye Sunshine
『Electric Discharge』
発売:5月14日(水)
価格:¥1,000+税
<収録内容>
1. Electric Discharge
2. 死角のシルエット
3. Ghost Town