新作『YANKEE』インタビュー(後編)
「最近はネットコミュニティを俯瞰で見ている」米津玄師が振り返る、ネットと作り手の関わり方
「ネットコミュティから離れすぎるのも良くない」
――米津さんの中で今、インターネットはどういう存在ですか?
米津:ハチの時は(ネットコミュニティの)渦中にいたというか。本当にネットコミュニティって密接な存在だったんですけど。最近は距離を取るようにして、俯瞰で見ています。それがどういう動きをして、どういう風に変わっていくのかを見ています。でも離れすぎるのも良くないとも思ってますね。
――これはニコニコ動画時代からの特徴でもありますけど、米津さんの作品ではアートワークが欠かせないものになってますよね。ビジュアルで表現できるものと、音で表現できるものの違いとは?
米津:根っこは同じものだと思っています。自分の作る音楽は最初に映像があって、それを音にするっていう作業があるんですけど。だから根っこを探っていくと、イラストの方が先にあるんじゃないかなと思います。絵の方が先に好きでしたし。だからそれがたまたま絵になるか音楽になるか、絵と音楽になるかっていう違いだと思います。
――今回の画も可愛いけど、ちょっとホラー的な要素もあって、今回のアルバムに入っている音と近いように感じます。
米津:ほんとにサラッと書いたんですけどね(笑)。書き終わった後に「なんでこれ描いたんだろう」っていうくらいの速さで。描いてたらこうなったって感じです。
――今回も自身の中で『YANKEE』というテーマとイラスト、そして音が結びついたという感じでしょうか。
米津:そうですね。
――今後は6月27日の代官山UNITなど、ライブパフォーマンスも行っていく予定ですよね。
米津:これもやらざるを得ないというか。このアルバムは聴いてくれる人のことを考えながら作ったんで、だとするとその人の前に立って、生身で演奏する必要があるなって思ったんですよね。やりたいとかやりたくないっていうものではなく、必要不可欠なものであるということです。
――今後は活動の中にライブという大きな柱が出来る可能性もある。
米津:はい。レコーディングしたメンバーでライブをします。学生の頃はバンドをやっていたりしましたが、でも苦手意識を持っていました。というのも、自分の歌っている声が聞こえないんですよね。モニターの問題なのかどうかわからないですけど、ライブを何度やっても聞こえないから。自分が何を歌ってるのかわからなくて、「何が楽しいんだ、これ?」と思ってずっとやってました。けれど、今はやらなきゃいけないなと思ってますね。
(取材・文=神谷弘一)
■リリース情報
『YANKEE』
発売:4月23日(水)
価格:初回限定生産 画集盤(CD+画集) ¥4,000(税別)
初回限定生産 映像盤(CD+DVD) ¥3,300(税別)
通常盤(CD) ¥2,760(税別)
<CD収録内容>
1. リビングデッド・ユース
2. MAD HEAD LOVE
3. WOODEN DOLL
4. アイネクライネ
5. メランコリーキッチン
6. サンタマリア (ALBUM VER.)
7. 花に嵐
8. 海と山椒魚
9. しとど晴天大迷惑
10. 眼福
11. ホラ吹き猫野郎
12. TOXIC BOY
13. 百鬼夜行
14. KARMA CITY
15. ドーナツホール (COVER)
<DVD収録内容>
1. リビングデッド・ユース (Music Video)
2. アイネクライネ (Music Video)
※映像盤のみ
<画集収録内容>
・本人書き下ろしによるイラスト・マンガを含むハードカバー画集104ページ
・スリーブ仕様
※画集盤のみ