冬将軍が初映像パッケージ化ライブ『STAY DREAM』を分析
長渕剛はなぜギター1本で歌ったのか 原点回帰的ライブ『STAY DREAM』を振り返る
歌い継がれる普遍的な“うた”
「初心忘れるべからず」長渕が歌詞を書きためるノートの表に必ず書く言葉である。長渕の歌にはいつだってギターがあった。それは37年間、どの時代においても必ず「弾き語りの楽曲」をライブのセットリストに入れていたことからも伺える。流行や時代に流されることのない、ましてやアレンジに左右されることのない、心に響く歌である。
「長渕剛という名前はすぐに風化してしまう、俺が1番懇願するのは歌が残ればいい」(ギター・マガジン 2009年11月号)
童謡は誰が作ったと考えることもなく、誰もが口ずさむ普遍的な歌である。それが長渕の歌に対するテーマでもある。ライブ当日の会場周辺には多くのファンたちがギターを抱え、各々が“それぞれの長渕”を歌う。そこにまたファンが集まり輪になって合唱が起こる。これは今なお変わらない30年以上続く光景だ。ファンは長渕本人が好きであると同様に“長渕剛の書いた歌”が好きなのである。
音楽ジャンルが多用化し、その音楽の聴き方・楽しみ方も変わりつつある現在だからこそ、歌い継がれる普遍的な“うた”の価値を忘れずにいたい、長渕剛の歌はそう気付かせてくれる存在なのかもしれない。
■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログ/twitter