“絶頂期”を迎えるベテランバンドが増加中 エレカシ、怒髪天、人間椅子らが今輝く背景とは

目標に「武道館公演」を掲げたナカジマノブ。当日は熱のこもったMCで会場を湧かせた。

 さらに、世界的な傾向を見ても、この“ベテラン・バンドの再興”はひとつの潮流となっていると、柴氏は続ける。

「2000年くらいから、海外のロックシーンでもリバイバルブームが続いています。実際、1999年にアメリカで結成されたザ・ストロークスを筆頭に、イギリスのジェイク・バグ、最近ではザ・ストライプスなどが、一昔前のロックを彷彿とさせるサウンドで人気を博しています。70年代のパンク、80年代のニューウェイブなど、かつてのロックは、前の世代の音楽を否定することで発展を遂げてきた部分がありますが、最近ではそういう傾向が少なくなったと言える。むしろ前の世代の音楽もまた、クールな音楽のひとつとして捉える若者が増加している傾向にあるようです。2013年に世界最大のロックの祭典といわれるグラストンベリー・フェスティバルにてザ・ローリング・ストーンズがヘッドライナーを務め、またブラック・サバスの約35年ぶりの復活作アルバムが全米・全英1位を記録したのは象徴的な出来事ではないでしょうか。エレカシや怒髪天、人間椅子といったバンドが新しいファン層を獲得している背景には、古いものはクールではないという価値観が支配的ではなくなった、という世界的な傾向も影響しているのかもしれませんね」

 CD不況の反面、ライブ市場が活況となっている昨今、キャリアと実力をかね揃えたベテラン・バンドの活躍は、今後ますます勢いを増しそうだ。
(文=編集部)

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