FMラジオにもっと音楽をーー楽曲重視の編成改革を進める「インターFM」の挑戦

 インターFMに転機が訪れたのは2012年。株式の90%がテレビ東京から木下工務店系列のキノシタ・マネージメントに譲渡され、同社を親会社に経営されることになった。本来スポンサー側の企業へと経営母体が移ることで、当初は「これまで以上に営業的な番組編成となるのでは」と不安の声も多々聞かれた。しかしその心配は杞憂に終わる。以前から映画や音楽、スポーツなど文化事業を積極的に支援していたキノシタ・マネージメントはインターFMの経営においても文化的側面を重視。音楽評論家で人気ラジオDJでもあるピーター・バラカン氏を執行役員に置き、「インターFMはラジオに魔法を取り戻す」「ラジオに魔法をかけた100曲」というキャンペーンを展開。音楽を重視した編成に再度切り替え、アーティストの作品感が伝わるよう継続的に楽曲を流すようになった。

 「選曲も往年の名盤から最新のミュージシャンまで幅広く、芸術的価値の高い楽曲がこだわりを持って並べられるようになった。また各番組のDJもバラカン氏に刺激を受け、クオリティの高いトークを行おうと奮闘している」(前出のラジオ関係者)

 前述のキャンペーンで多くの支持を集めたインターFMは、2013年よりステーションコピーを「The Real Music Station」に変更。「本物の音楽」を発信し続ける決意を改めて表明し、今日も放送を続けている。ピーター・バラカン氏は執行役員就任にあたり以下のように語っている。「元々音楽が大好きなコアなリスナー層だけでなく、潜在的に良い音楽を求めている人達は沢山いるんです。インターFMがリスナーのために良い音楽をかけていれば、もっと多くのリスナーがラジオを聴いてくれるようになるのではないかと考えています。それを実現するのは本当に大変な事だと思いますが、今、私たちがやらなければいけない」。インターFMの挑戦、それは失われつつあった「ラジオで音楽を愉しむ喜び」の再発見だ。最近新しい音楽との出会いがない、そう感じている方はインターFMを聴いてみてはいかがだろうか。
(文=北濱信哉)

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