松本穂香がユーチューバーに 『#アスアブ鈴木』に見るYouTubeドラマの可能性

『#アスアブ鈴木』YouTubeドラマの可能性

 いまや小学生が将来なりたい職業のランキングで上位に君臨するほどの市民権を得た“ユーチューバー”。テレビが元気だった時代に幼少期を過ごした筆者からすればまだ今ひとつ馴染みのない文化ではあるが、自らセルフプロデュースを行って視聴者に娯楽を提供するスタンスと、それによって生み出される作品や表現の自由度に関しては好意的な印象を抱かずにはいられない。

 そんな極めて現代的な存在であるユーチューバーを主人公にしたドラマで、しかもそれをあえてYouTubeで配信しているのが“アストラルアブノーマル鈴木さん”こと『#アスアブ鈴木』。“夜の連続YouTube小説”と銘打って、毎週金曜日に配信されるこのドラマは、Wi-Fiスポットもない群馬の田舎町でユーチューバーとして動画を投稿しながら暮らす少女・鈴木ララのクセの強い暴走を描き出した物語だ。

# アスアブ鈴木 第1話「起床」 主演:松本穂香 【フルHD推奨】

 現在配信されている第8話までを振り返ってみると、なかなかつかみどころのない不思議な世界観が展開していく。テレビのドキュメンタリー番組が来るからと、一緒に暮らす母や弟に妙な設定を与えて演じさせたり、自分の家の外壁に誹謗中傷のビラを書いて貼ってみたりと、少しズレたセルフプロデュースが空回りしていくシュールな光景。また激しい感情を表出させるなど、現在TBS系で放送されているドラマ『この世界の片隅に』とは180度違う、松本穂香の怪演がひたすらに際立つ。

 さらにララは、東京で芸能人として活躍している双子の妹・リリに会いに行くのだが、姉妹の間にある因縁の物語と同時に、さらに演技の幅の広さを見せつける松本の女優としてのポテンシャルの高さにただただ脱帽するばかりだ。この後ドラマが後半戦に突入し、ララの逆襲と暴走がさらにエスカレートしていく様や、現時点では設定のひとつとしてしか機能していないユーチューバーという職業がどのように作用していくのかなど、気になるポイントは盛りだくさんだ。

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