健太郎、なぜ映画やドラマで引っ張りだこに? 『アシガール』『デメキン』の“まなざしの強さ”

健太郎、人気の理由はまっすぐな眼差し

 脚力だけがとりえの女子高生がタイムマシンでうっかり戦国時代にタイムスリップ。一目ぼれしたイケメンの若君・忠清を守るために男装して足軽となり、戦場を突っ走る人気コミックを原作とした土曜時代ドラマ『アシガール』(NHK)。戦国時代にいきなり放り込まれた平成のぐうたら女子高生、唯(黒島結菜)に一途に愛される聡明な若君を演じるのが健太郎だ。

 平成の世(現代)では、恋愛にもオシャレにも勉強にも無関心で、やる気もなく生きていた主人公の唯を覚醒させるほど魅力ある若君なので、当然ただ美しいだけではない。若君に近づきたい、自分を犠牲にしても彼を守りたいと行動していくけなげな唯に対して、忠清は彼女の原動力となり、そのまっすぐな愛情を受け止める。唯の必死すぎる恋のパワーにも負けない芯の強さ、包容力を見せつける健太郎の存在感が光る。

 現代にタイムスリップしても礼儀正しく、品のある若君は普通に女子高生が集まってくるほど人気者なのだが、そんな若君を嫌味なく、ときにコミカルに演じるというのは難易度が相当高い。非の打ち所のない立派な若君だからこそ、現代に生きる私たちとちょっとズレてるところが可愛かったり、可笑しかったりする。ひとつ間違えば、コメディ色が強くなりすぎてしまうが、健太郎の演技がツボを押さえていて絶妙なさじ加減なのだ。

 性別を偽って足軽にまでなって「若君が好き!」という気持ちだけで爆走する唯を、愛おしく好ましく思いながらも冷静な物腰で接し、軽々しく自分の心情を説明しない若君。それゆえ、表情、特に目の演技が印象的で、余韻を残す。

 唯と若君は生きる世界というか、生きている時代が最初から違い、出会うはずもないふたりが出会ってしまったので、たわけ少女・唯の突飛な言動に笑いながらも切なさがつきまとう。この切なさに多くの女性は萌えるのだ。

 話題のドラマ、映画への出演が続く健太郎。少女コミックの名作を映画化した『先生! 、、、好きになってもいいですか?』では、先生(生田斗真)との恋に悩む響(広瀬すず)を励ます藤岡勇輔を演じている。響が所属する南高校の弓道部と練習を共にする北高校の弓道部の部長役だ。落ち込む響を見守りながらも、じつは1年前の大会で見かけたときから響に好意を持っていたという……切ない表情、凛々しい袴姿が若君とも重なる。まっすぐな視線の強さが古風な雰囲気も出せるのかもしれない。

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