ナウ先輩役・望月歩、圧巻の演技! 『母になる』第5話を振り返る
今を生きる3人の女性が“母になる”までの物語を描いたドラマ『母になる』(日本テレビ系)。唯一無二のお母さんになることを誓い、柏崎広(道枝駿佑)の児童養護施設行きを許した柏崎結衣(沢尻エリカ)。第5話では、施設の先輩である田中今偉(通称・ナウ先輩:望月歩)が、広に“生みの親”の尊さを、身を以て教えたシーンが多くの視聴者の感動を呼んだ。
広を担当する、施設の木野愁平(中島裕翔)が目を離した隙に、彼がいなくなってしまったのが第4話のラストシーンであった。木野が今偉と広を見つけた場所は、ネットカフェ。今偉は、施設に面会に来てくれなくなっていた母親を、施設の仲間から聞いた話を頼りにインターネットの3Dマップで探していた。母親らしき人物を見つけた今偉たち3人は、地図の場所へと向かう。しかし、そこで見つけたのは、新しい愛人と堕落してしまった母親だった。
今偉の本当の目的は、母の存在の大切さを広に教えることであった。綺麗に取り繕うことを嫌がり、木野という大人の立場が介入することを拒んだ今偉。しかし、今偉の思いは虚しく、母親へのプレゼントとして持ってきたケーキを払いのけられてしまう。それを見た広は思わず「それでも母親かよ!」と叫ぶ。その言葉が、癇にさわった今偉の母親は、「子供を産んだからって誰もが素晴らしい母親になるとは限らない。子供を手放さないと生きづらい、最低などうしようもない母親もいる」と溜まっていた思いを爆発させる。
母親が立ち去ると今偉は、広に語りかける。「この先、家族はいくらでも作れるが、産んでくれた母親はたった一人。どんな母親でも、それは自分を産んでくれたかけがえのない大切な、たった一人の母親だから」と涙ながらに伝えるのだ。罵声を浴びせられ、傷つきながらも、今偉は広に母親の大切さを教えようとした。結衣の愛が広に向いていながらも、それを拒み施設行きを希望する彼の姿に、今偉は自身の境遇を重ねたのだろう。大人の介入を振り払った今偉だったが、胸のつかえが下りたのか、帽子のツバを目深に降ろし、木野に背中をさすられながら涙を流す彼の姿に、広は母親である結衣との日々を思い出す。広は「俺、あの家に帰ります!」と、柏崎家に帰ることを決心するのだ。その言葉を聞いた今偉の晴れやかな笑顔が、他人を思いやる優しさを物語っていた。