北村匠海、次世代の“演技派”として頭角を現した背景ーーたしかなキャリアと複雑な役どころに迫る

 村上淳を父、UAを母に持つ村上虹郎や、千葉真一を父に持つ真剣佑など、二世俳優が出演していることでも話題になっているドラマ『仰げば尊し』。今をときめく若手俳優が大集結したこの作品の中で、安保圭太を演じる北村匠海にも注目が集まっている。

 北村はスターダストの若手男性アーティスト集団EBiDANに所属。また、音楽ユニットDISH//のメンバーでもある。もっとかみ砕いて説明すると、EBiDANとは「恵比寿学園男子部」の略であるから、アイドルグループ「私立恵比寿中学」とは姉と弟にあたるし、 ももいろクローバーZの弟分でもある。しかし、彼らはアイドルではなく、あくまでもアーティスト集団と銘打たれている。

 そんなユニットのメンバーである北村だが、実は俳優としてのキャリアは長い。2008年から活動を始め、その年に織田裕二主演のドラマ『太陽と海の教室』や、林遣都、池松壮亮などが主演の映画『DIVE!!』に子役として出演。演技力は昨日今日身につけたものではない。

 特に2009年の映画『重力ピエロ』などでは、岡田将生演じる主人公の弟、奥野春の少年時代を演じている。この春というキャラクターは、モデルである母と、公務員の父の間に生まれた次男であるが、父にも母にもない絵の才能があり、父と顔が似ていないことで、同級生の母親たちから出生について疑いの目を持たれていて、彼自身も複雑な状況にいる。そんな難しいキャラクターを、子ども時代からごく自然に演じているのを見ると、現在、錚々たる若手俳優たちの中で、頭角をあらわしつつあるのも、当然のことと思えた。

 今年は映画『ディストラクション・ベイビーズ』にも出演。『仰げば尊し』でも共演の村上虹郎の友人の健二役を演じている。健二は、地方の港町に住む、ちょっと目立つ、ちょっと不良っぽい仲間の中のリーダー格だったが、普段はいきがっている健二が、海辺で上半身裸になり岩場に寝っ転がろうとしたとき、岩場が思っていたよりもごつごつしていたために、痛がり、いら立つ場面は、短いながらも健二の去勢を張ってはいても小さい感じがよく出ていた。ふとした芝居で、キャラクターのリアリティを出せる俳優だと思った。

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