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『Echo』インタビュー

DEAN FUJIOKAが語る、『モンテ・クリスト伯』主題歌への想い「絶望や答えのない問いを描いた」

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「<Tell me why>というサビで“答えの出ない問いかけ”を表現」

ーー実際の制作作業は、どのように進んでいったんですか?

DEAN:まずは作年末インドネシアにいたときに、サビはこういうメロディがいいなと思いつきました。そのあと報道の仕事でスイスにいって、チューリッヒに滞在しながら、ラップトップでデモを作りはじめたんですが、そのタイミングで、“答えの出ない問いかけ”を表現するために<Tell me why>とサビを考えはじめて。それから、ドラマのテーマでもある“赦す”ことの意味や、“何を赦すのか”を表現するために、滞在しているホテルで、窓の外の景色を眺めながらさらに作業を進めました。そのとき、スイスがどういう成り立ちでできた国かを知ったことも、自分にとって大きかったと思います。色々な言語を喋る人々が、それぞれの母語の国ではなく、スイスという連邦のような国を作って暮らしはじめた背景や、なぜスイスに時計や製薬の産業が集まったのか、なぜプライベートバンキングや保険が発達したか、なぜシェルターが人口の120パーセント近く普及しているのか、なぜスイスの傭兵が恐れられるのかーー。そういうことを知っていくと、背景にある暗い歴史が見えてくる、というか。

ーースイスが永世中立国であることの意味とも繋がる、複雑な話ですね。

DEAN:現地の美術館や博物館でも、そういった歴史に触れる瞬間がありました。そして、そういうことを考えているうちに、音がどんどん今回の「Echo」のようなものになっていった、ということなんです。とにかくBPMを遅くして、迫りくる不安や、凶暴な雰囲気が同時に感じられるようなものを表現していきました。

ーーつまり、メタルのギターをシンセに置き換えたようなインダストリアルな質感のあるウェーブのサウンドが、その雰囲気にぴったりとハマったということなんですね。

DEAN:まさにその通りです。そもそも、僕はベースミュージックって現代のメタルだと思っているんですよ(笑)。30~40年前にデスメタルをやっていた人と同じメンタリティを持った人たちが、たまたまEDMのサブジャンルをやっているだけなのかもしれないな、と。

ーー今回の「Echo」はとても静かなピアノの弾き語りからはじまって、そこに突如ウェーブ特有のシンセが割り込んでくる構成になっています。これは『モンテ・クリスト伯—華麗なる復讐—』で描かれる柴門暖/モンテ・クリスト・真海の二面性を表現したものですか?

DEAN:一度人間が生きて、その後悪魔に転生するというイメージですね。『モンテ・クリスト伯—華麗なる復讐—』では、ひとりの人間が冤罪にかけられて、復讐の悪魔や怨念の塊になっていく様子が描かれています。それの切り替えを表現するために色んなアプローチを考える中で、この構成なら、その変化を上手く表現できると思ったんですよ。それに、曲としてライブでやったときにも、ピアノの弾き語りではじまって、いきなり曲が豹変するようにシンセの音の壁やベースがやってきて――。まるで嵐や濁流が自分をめちゃくちゃにして過ぎ去っていくような、そして自分はその場に取り残されてしまうような、そんな雰囲気が生まれるんじゃないかとも思っていました。

ーーなるほど! その感覚は、『モンテ・クリスト伯—華麗なる復讐—』を観終わった直後の視聴者の感覚にも、限りなく近いものかもしれません。

DEAN:はい。僕としても、そういうことをイメージしていました。また、今回は全編英語詞になっていますが、これはフジテレビさんからの提案でした。僕は最初、日本のドラマなので「日本語詞の方がいいんじゃないですか?」と言ったんです。でも、「英語詞でいいですよ」というお話で、「これはすごく勇気があるな」と。それに、実際に曲を作って行く中で、僕自身もこの曲には英語詞が自然に乗っていたので、自分としてもすごく助かりました。

ーー一方でカップリングの「Hope」は、希望が感じられる雰囲気になっていますね。

DEAN:1曲目の「Echo」が絶望や答えのない問いを描いた曲だったので、2曲目は希望が感じられるようなものでないと、本当に救いようがなくなってしまうな、と思ったんですよ(笑)。最初は「ハレルヤ」というタイトルで、希望のファンファーレ的なイメージで作りはじめました。「Echo」のシンセが濁流に飲まれていくようなものだったので、この「Hope」はもっと“この音はここにある”ということが分かるような曲にしたいと思っていましたね。“色々あるけれど、希望はあるから明日も頑張りましょう”という曲です。僕の曲の中で言うなら「Speechless」のネクストレベルのようなものを作ろうというイメージでしたね。自分としてはライブの終盤に似合うような曲にしようと思って作った曲です。

ーーこれは今年開催された『DEAN FUJIOKA 1st Japan Tour “History In The Making 2018”』の公演を観たときにも感じたのですが、DEANさんの音楽活動は、ここ2年間の日本での活動の間にも、ますます大きな広がりを見せていますよね。この数年間は、ミュージシャンとしてのDEANさんにとって、どんな期間だったと思っていますか?

DEAN:1stアルバムはインドネシアのジャカルタで作ったこともあって、2017年の「History Maker」以降の楽曲は、僕の中では東京シリーズという位置づけになっています。今回の「Echo」と「Hope」で、その楽曲も8~9曲目になると思うんですが、「History Maker」をリリースするまでは、自分の中ではジャカルタに音楽のベースがあって、でも自分の体は日本で俳優業をやっている、というイメージが強かったんですね。だから、東京で音楽をやっていても、その活動はどこかインドネシアの延長線上にあるような感覚でした。

 でも、次第に東京にいる時間が増えて、その中で色んなクリエイターとの出会いがあって、そこで出会うことのできたすべての人とのかかわりの中で、新しい気づきや学びが生まれてーー。それは僕にとって、とても大きなものだったと思います。これまでまったく気が付かなかった視点や、東京で出会ったほかのクリエイターの方たちの制作方法に触れて、それをひとつずつインストールしてきたような感覚で。

 それに、音楽の発信の仕方もここ数年で多様化していて、すごく面白い時代になってきていると思うんですよ。自分の得意な技を、得意な形で出せるようになってきているというか。だからこれからも、自分が好きな音楽を作って、それをひとりでも多くの人に聴いてもらえるように頑張りたいですね。どんな仕事でも、精一杯やるからにはひとりでも多くの人に見てもらいたいし、触れてもらいたいし、どの作品でも、自分に関係のあるものだって思ってもらいたい。僕はこれまで、飛行機に乗って日々色々な場所に拠点を移すような人生を過ごしてきて、ここ2~3年は日本にいることが増えましたけど、そういう大きな環境の変化は、思っている以上に人の在り方を変えますよね。

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