大橋彩香が語る、2ndアルバムでの進化を経て見つけた“新たな自分”

大橋彩香が見つけた“新たな自分”

「たまに『どれが自分なんだろう?』とわからなくなる」

ーーそしてシングル曲「ワガママMIRROR HEART」を挿み、アルバムの最後を飾るのが「Sentimen-Truth」です。この曲はfhánaの佐藤純一さんが作曲/編曲されてますが、どういった経緯で?

大橋:台湾でのライブイベント(2017年6月開催の『Anisong World Matsuri presents Lantis Party 〜UTAHIME LIVE〜』)でfhánaさんとご一緒しまして、その打ち上げの時にfhánaさんと席が近くだったんです。それで佐藤さんに「大橋さんはどういう曲を歌いたいんですか?」と聞かれまして、「私、明るい曲ばかり歌ってますけど、根はめちゃめちゃ暗くて」みたいな話をいっぱいしてたら、後日、佐藤さんが私の話したことにインスピレーションを受けて1曲作ってくださって。

ーーそれは素敵なプレゼントですね。

大橋:別に何かのためとかでもなくて、単純に「こういう曲が生まれたのでよかったらどうぞ」ということだったんですよ。その時は「ありがとうございます!」という感じだったんですけど、ちょうどアルバムを作るとなった時に、「Sentimen-Truth」みたいなタイプの曲は今までなかったので、ぜひ『PROGRESS』に取り入れたいということで、本格的に制作することになったんです。

ーーたしかにちょっと影の部分を感じさせるところは、今までにない雰囲気です。

大橋:そもそも6分半もある楽曲が私にはなかったですし、壮大でストーリーも長くて。でも、最後は希望を感じたところで終わるんですよね。

ーー作詞はUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんが担当されてます。

大橋:私、田淵さんの楽曲が大好きなんですけど、田淵さんにお願いしたのは私ではなくて佐藤さんなんです。気がついたら田淵さんが作詞されることになってて「ええぇ〜!」みたいな(笑)。ビックリ仰天しました。

ーー歌詞をいただいた時の感想は?

大橋:すごい歌詞だし、田淵さんっぽいなあと思いました。けっこう自分の本質に迫った歌詞になってると思うんです。私は表に出してる自分はありますけど、もちろん別の自分というのもあって、みなさんに自分の全部をお見せできてるわけではないんです。この曲の歌詞には「そういうのもあるんだよ」っていうのが表れてますし、「大橋彩香とは?」みたいな部分があって。聴いていただいたら「大橋ってこういう一面もあるんだ」というのがわかっていただけるかなあと思います。

ーー大橋さんは声優やユニット活動を通じて華やかなステージに立つことも多いですが、そういう表舞台の光とは違った影の部分、日常の姿もあるわけですからね。

大橋:たまに「どれが自分なんだろう?」っていうのがわからなくなる時もあったりして。別にみなさんに見せているものが嘘というわけではないんですけど、やっぱりその時々によっての自分があるわけで、「あれ? 私は大橋彩香? はっしー? へごちん? 誰?」みたいな風になることもけっこうあって(笑)。難しいなあと思いますね。

ーー<フレームの中にいる 自分が自分じゃない そんな気がして>という歌詞には、そういう心情が表れてますね。

大橋:そうですね。でもちゃんと<時々だけどね>ってフォローしてくれてるところがいいですよね。「毎回じゃなくてたまに思うんですよー」っていう(笑)。でも、私だけじゃなくて、他の方も働いてるなかでそう思うことはあると思うので、共感していただけるんじゃないかなと思います。

ーーレコーディングはいかがでしたか?

大橋:この曲は自分探しをしてる部分も共感できるので、歌う時はすごく感情移入しやすかったんですけど、レコーディングはいちばん時間がかかったんです。6時間ぐらいかけて、ディスカッションしながら丁寧にやらせていただきました。

ーー佐藤さんと田淵さんは現場にいらっしゃったんですか?

大橋:はい。佐藤さんがディレクションしてくださって。私は歌の一音目が強くなってしまうクセがあるんですけど、佐藤さんは「それは個性だし良いことなんですけど、全部それで歌うとしつこくなっちゃうので、要所要所で使いましょう」とおっしゃっていただいて。それと最初はキーがもっと高かったんですけど、そこの音が上手く出なかったので半音下げたんです。自分の声がいちばん良く出るとところで歌ってほしいということだったので。

ーーアルバムの最後にふさわしい、大橋さんの新しい一面やいままで見せてこなかった本音のようなものも垣間見れる曲になりましたね。曲順も自分で決めたのでしょうか?

大橋:5月27日に開催するライブ(『大橋彩香 Special Live 2018 〜 PROGRESS 〜』)のセットリストは、まず自分で希望を出して、スタッフさんと相談して決めたんですけど、アルバムの曲順はまずスタッフさんに考えていただきました。実はライブのセトリの方が先に決まってたので、それとは違う並び順で何パターンか考えていただいて、その中から私がこれがいい! とお伝えしたんです。でも理想の流れになりました。

ーーちなみに今回のアルバムで初めてハイレゾ配信を行うとのことですが、大橋さんは普段ハイレゾで音楽を聴かれたりは?

大橋:聴かないです(笑)。私のプレイヤーは(データ容量が)パンパンなので、ハイレゾはデータが大きいから曲が入らなくて。でも、ハイレゾ対応の機器とイヤフォンを使ってるので『PROGRESS』は買おうかなと思ってます。

ーー自分の作品なんですから、データをいただいたらいいじゃないですか(笑)。でも、レコーディングの時に聴いてる音源は、音質的にハイレゾと変わらないものだと思うのですが。

大橋:そうなんですか!? じゃあめっちゃ音質いいんだ! ボーカルもめっちゃキレイに聴こえますよね。私、音質というか聞こえはすごく大事だと思うんです。私はボーカルが良く聴こえる聴こえ方がいちばん好きなので。ボーカルと耳の距離が近くて、かつ、重低音がめちゃくちゃ効いてるというのが……。

ーーそれ、まさにハイレゾのことですね(笑)。

大橋:うわー! そうなんですねー(笑)。今回は私の作品のハイレゾ版が初めて出るということで、2バージョンあるということは聞こえ方も違うということですし、ぜひ聴き比べしたいですね。(CDでは)聴こえなかった音も聴こえてくると思うので、まだハイレゾで聴いたことのない人も、これを機会にハイレゾに手を出していただくのもアリなのではないかなあと。

ーーあとは5月27日のライブがどんな内容になるのかも楽しみです。

大橋:初めてのホールライブなので、まずお客さんに席があって座れるのがいつもと違うところかなと思ってて。いままではオールスタンディングだったので、みなさんが疲れてしまわないように曲数を多くはしてなかったんですけど、今回はライブの時間を長くしたんです。それに曲がドッと増えたので、セトリを組むのがめちゃめちゃ大変で。やっぱり全部は歌えないので「どれを削ればいいんだろう?」みたいな感じで、すごく悩みながら組ませていただきました。みなさんに座っていただいたらMCもペチャクチャと喋れるし、アコースティックとか、ホールライブだからこそできる演出があると思うので、みなさんに“PROGRESS”を感じていただければと思ってます。

ーー最後に、アーティストとしての理想について聞かせてください。

大橋:やっぱりエンターテイナーになって、みなさんを楽しませることができるライブをやりたいです。CDはCDでありますけど、ライブはわざわざ私に会いに来てくれる、私のライブを生で見たい方がいらっしゃるということなので、そんなみなさんをたくさん楽しませられるようなアーティストになりたいなと思ってます。なので最近はいろんなライブDVDを見て勉強してます。

ーーそれはどういったアーティストの?

大橋:それこそ三浦大知さんだったり、K-POPのアーティストさんだったり……皆さん会場のキャパがものすごく大きいですけど。ドームクラスとかになると演出がすごすぎて、ステージが動くし、みんな普通にフライングするし、上から水を降らせたりするし、「すごい!」と思いながら見てます(笑)。

ーーそれぐらいのことができるエンターテイナーになりたいと。

大橋:あんなに大きい会場だったら、本当にいろいろなことができると思うので、いつかはもっと大きな会場でライブができるようになって、なにかスペシャルなことをやってみたいですね。今は徐々に階段を上ってる途中なので、今の私にできることをがんばりたいと思います。

ーーそのためにはダンスもがんばらなくてはですね。

大橋:はい、ダンスもより一層勉強します(笑)。

(取材・文=北野創/撮影=三橋優美子)

■リリース情報
『PROGRESS』
発売:5月23日(水)
価格:初回限定盤 ¥4,500(税抜)
通常盤 ¥3,000(税抜)

<CD収録内容>
1.シンガロン進化論
作詞・作曲・編曲:大石昌良
2.Maiden Innocence
作詞:磯谷佳江 作曲:山田高弘 編曲:齋藤真也
3.Break a Liar
作詞:Yu-ki Kokubo 作曲:Kohei Yokono,Yu-ki Kokubo 編曲:Kohei Yokono
4.ユー&アイ
作詞:中村彼方 作曲・編曲:秋浦智裕(onetrap)
5.希望フォトグラム
作詞:真崎エリカ 作曲・編曲:板垣祐介
6.ハッピーメリーゴーランド!
作詞:真崎エリカ 作曲・編曲:本多友紀(Arte Refact)
7.うたたねのラブソング
作詞:濱名 琴(onetrap) 作曲:秋浦智裕(onetrap) 編曲:伊藤 立(onetrap)
8.彩りPlace
作詞:rino 作曲:廣澤優也 編曲:藤井亮太、廣澤優也
9.バカだなぁ
作詞・作曲・編曲:秋浦智裕(onetrap)
10.ワガママMIRROR HEART
作詞:真崎エリカ 作曲:加藤裕介 編曲:酒井拓也(Arte Refact)
11.Sentimen-Truth
作詞:田淵智也 作曲・編曲:佐藤純一(fhána)

<BD収録内容>※初回限定盤のみ
1.シンガロン進化論 Music Video
2.シンガロン進化論 Music Video Making
3.ジャケット撮影 Making
4.フォトブック撮影 Making

■ライブ情報
『大橋彩香 Special Live 2018 ~ PROGRESS ~』
日時:2018年5月27日(日)16:00開場 / 17:00開演
会場:パシフィコ横浜 国立大ホール
チケット料金:全席指定 6,800円(税込)
※3歳以上有料
※転売禁止
※転売チケット入場不可
※オークションへの出品禁止
※迷惑行為一切禁止
 
■関連リンク
大橋彩香 公式HP

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<応募締切>
2018年6月7日(木)まで

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