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BTS(防弾少年団)の人気高めるブースターに? RM、SUGA、J−HOPEのミックステープ聴き比べ

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 2013年にヒップホップ系アイドルとしてデビューしたBTS(防弾少年団)。しかし、成功への道は決して平坦ではなかった。

BTS『FACE YOURSELF』(通常盤)

 当初は韓国のヒップホップブームに乗り、ヒップホップスタイルやラップを前面に押し出した曲が多かったが、実際にブレイク地点とも言える音楽番組で初めて1位を獲った曲は、デビュー当初とは180度イメージを変えた、切ないEDMソング「I NEED U」だった。コンセプトや歌詞的には“少年期から青年期の懊悩”という流れをつなげてはいるが、音楽的にはこの曲が収録された『花様年華』シリーズから、どちらかといえばダンスパフォーマンスを中心に据えたジャンルへと変節を遂げることになった。

 以降はアルバム収録曲にはヒップホップテイストの曲は収録されているものの、いわゆるタイトル曲におけるヒップホップテイストは薄くなってきている。ちょうど『花様年華』がヒットした2015〜16年頃はヒップホップアイドルブームと呼ばれるものも落ち着き、各アイドルグループのラッパーたちがソロトラックを発表し始めた時期でもあった。

 BTSは、元々デビュー前からラッパーを目指して活動していたRMとSUGA、BIGBANGのV.I(スンリ)が経営していたダンススクール出身でダンサーだったJ−HOPEを中心にメンバーが集められたグループだ。現在でも楽曲やパフォーマンス制作の中心はこの3人と言える。今年に入ってJ−HOPEがミックステープを公開し、TIME誌のインタビューを受けるなど注目を集めたが、RMとSUGAの2人はすでにそれぞれがミックステープを発表している。今回は3人のミックステープを聴き比べてみた。

自身のやりたいスタイルが多彩に並ぶ『RM』

Rap Monster ‘각성 (覺醒)’ MV

 『RM』(2015年発表)はアメリカの音楽媒体SPINの「The 50 Best Hip-Hop Albums of 2015」に選ばれている(参考)。11曲中8曲で既存アーティストのビートを借用しており、J.ColeからMajor Lazerまでビッグネームがずらりと並ぶ。R&Bに関心を持つ本人の嗜好を反映したかのような「RUSH(feat.Krizz Kalico)」やJ.Dillaをリファレンスした「Life」など、多彩なフロウを聴くことができる。

 人気アイドルとしての自分を取り巻く環境やラッパーとしての苦悩など内面的な描写が中心となっているが、個だけでなく社会や他者も踏まえた視点はどこか客観的で、かつ詩的な表現が多いように思われる。曲作りそのものというよりは、MCとしてMC-ing=ラップそのものに焦点を当てており、トラックの選び方やリファレンスの仕方など「こういう曲が好きで、こういうスタイルのラップがしたい」という部分がより突出している。まさに“自分の好きなものを詰め込んだ一本”と言えるのではないだろうか。

自己の内面や歴史を詰め込んだ『Agust D』

Agust D ‘Agust D’ MV

 もう1人のラッパーSUGAは練習生になる以前は本名のユンギを英語訳したGlossという名前で活動していた。現在はソロ名義の楽曲リリースの際には、生まれ故郷の大邱(Daegu=D−Town)とSUGAを繋げたAgust Dを名乗っている。

 RMのミックステープと同様に、『Agust D』(2016年発表)は自分を取り巻く環境の変化やアイドル/ラッパーとしての葛藤を表現したリリックが多いが、表現方法は対照的だ。客観的なメタ視点も含むRMとは異なり、こちらはあくまでも自分VS世界、自分VSヘイター、自分VS自分。実の兄との会話を収録した「skit」、己の音楽遍歴を綴った「724148」(タイトルは、大邱とソウルで使っていたバスのナンバー)、なにもない普通の1日に考えていたことを綴った「140503」、10代の頃の抑鬱状態から精神科を受診した経験を綴った「The Last」、成り上がりの象徴として幾多のラップで取り上げられている映画『スカーフェイス』の主人公に自分をなぞらえた「Tony Montana」など、“ひとりの人間の内面”をとことん突き詰めた一本となっている。

 トラックも全てオリジナルで、音楽スタジオでのバイト時代にマスタリングなどを学んだ経験をいかし、フィニッシングまでほぼ自分で仕上げるというDIY精神が貫かれている。ラップのフロウのバリエーションは多くないがswagとバイブスに満ちており、その強度とトラックの暗度でリスナーを圧倒する勢いがある。「自分の言いたいことを自分のやり方で言い切った」という点で、RMとはまた別の意味で“やりたいことをやった”作品と言えるのではないだろうか。

      

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