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ゴールデンボンバー楽曲の根底にあるもの 最新作『キラーチューンしかねえよ』から読み解く

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金爆の根底にある「持たざる者のルサンチマン」

 ゴールデンボンバーの魅力といえば、楽器を演奏しないことで発生する予想の付かないパフォーマンス、親しみやすいメロディ、そして2014年には隆盛を極めていた「特典商法」に疑問をなげかける「特典ゼロ」の真っ白なジャケットでリリースしたシングル『ローラの傷だらけ』、昨年は3月に『ミュージックステーション 3時間SP』(テレビ朝日系)の生放送中に「#CDが売れないこんな世の中じゃ」の無料配信を敢行。7月にはLINEスタンプでのベストアルバムリリース(なおリリース記念イベント本編はLINEスタンプで音楽を流せる時間と同じく8秒)、11月にリリースされたシングル『やんややんやNight ~踊ろよXX~』では「XX」部分を都道府県名にし47種類リリースするなど、音楽業界の常識を破るギミック……などなど、あげるとキリがない。

 ゴールデンボンバーの楽曲の作詞作曲すべてを手がける、鬼龍院翔(Vo-karu)の歌詞の根底にには一貫して「ルサンチマン」があるように思う。今でこそ「ゴールデンボンバー=演奏しないエアーバンド」というイメージはお茶の間に浸透したが、エアーバンド活動を始めた当初はライブハウスやメディアから理解を得られずに門前払いをくらったことも少なからずあったということがメンバーやマネージャーのインタビューなどで度々語られている。

 認められない、(V系シーンで注目を集めつつはあったが一般的に見ると)売れない、お金もない、そんな時期に発表されたのが「幸せな歌」(2009年7月)だ。

<幸せな歌を歌いたい けれど僕は幸せを知らない>

 そんな歌い出しから始まるこの曲は、「セックスの歌を歌いたい」「同棲の歌とか歌いたい」と、己の欲望と、それを持っていないルサンチマンについて爽やかなサウンドで歌い上げる。

 ゴールデンボンバーの運命を変えたのは、この直後にリリースした「女々しくて」(2009年10月)だ。もはや説明不要のヒット曲だが、リリースしてすぐにヒットしたわけでなく、今でいうYouTuber的な身体を張ったおもしろ動画や、自ら「パクられる前に自らパクってみた」というパロディ動画をあげることによってネット住民の心をつかみ、2011年にはハウス食品の「メガシャキ」CMソングとして替え歌の「眠たくて」を発表しお茶の間の知名度を獲得。そして「女々しくて」で『NHK紅白歌合戦』に出場したのはリリースから3年後の2012年という、彼らみずから自虐的に語る「一発屋」としては長い時間をかけて生み出された「国民的ヒット曲」なのである。

ゴールデンボンバー「女々しくて」【OFFICIAL MUSIC VIDEO [Full ver.] 】

「女々しくて」の成功と呪い

 「女々しくて」でバラエティ番組で「いくら稼いでる?」という印税ハラスメントをたびたび受けるほど成功を手にしたゴールデンボンバーだが、成功によって手に入れたものもあれば、失ったもの、いまだに手に入れられないものもある。そんな心情が綴れられているのが2015年にリリースされたオリジナルアルバム『ノーミュージック・ノーウエポン』収録の「欲望の歌」だ。

 <どうも食いつきがよいと思ったら 実はファンでしかもお目当ては他のメンバァァァァァァァァ!!><ああああ面白くねぇ 想像と違うなあ><あの頃感じた 劣等感は いつまでも僕に寄り添う>とシンフォニックなメタルサウンドにのせてブチ上げ、<結果、環境は大きく変わった 僕は欲望を保ったまま 何かを手に入れたつもりだった>とヴィジュアル系ソングあるあるの「語り」が入り、それはこんな言葉で締めくくられる。

<もう性格も顔も治らないだろう 歌って誤魔化すしかないんだ、歌って、祈るように、、、!!!!!!>

ゴールデンボンバー「欲望の歌」FULL PV

 「歌って誤魔化すしかない」とある種開き直りのように絶叫する鬼龍院だが、ライブをすればアリーナクラスを満員にし続け、テレビの音楽特番や国内フェスの常連にもなり、シングル曲もコンスタントにチャートインしている「消えない一発屋」の位置を盤石なものにしている。しかし、そういった場合の代表曲はやっぱり「女々しくて」だ。たとえば昨年出演した秋の『ミュージックステーション ウルトラFES』、年末の『ミュージックステーション スーパーライブ2017』、どちらも演奏曲は「女々しくて」。「ウルトラFES」では、dボタンの視聴者投票によってメンバーが爆発するというギミック、「スーパーライブ2017」では生演奏を披露する(そののちやっぱり爆発)というギミックが施されており、飽きさせないサービス精神には感服するしかないのだが。

 そもそもTVの音楽特番で「その年の代表曲」を披露すること自体が少なくなったという風潮もある(なお11月には「やんややんやNight ~踊ろよ東京~」でレギュラー放送のMステに出演している)。戦術家としての鬼龍院としてはそれでいいのかもしれないが、芸術家としての彼としてはどうなのだろう? 「女々しくて」以外にも名曲が多いというのはファンの間では常識ではあるものの、一般層からすると「女々しくて」ばかりが取り沙汰される状況には思うことがあったのかもしれない。たとえば2016年の音楽特番『THE MUSIC DAY 夏のはじまり。』(日本テレビ系)にて「水商売をやめてくれないか」を披露した際に、ブログで鬼龍院は「め…女々しくてじゃなくていいんですか!?( ゚д゚) ありがとうございます!m(_ _)m笑」と綴っている(参照:鬼龍院翔オフィシャルブログ)。まあ昨年8月には「女々しくて芸人 鬼龍院翔 プライドはあまりありません 替え歌ホイホイやります、御依頼お待ちしております\(^-^)/」(参照:鬼龍院翔オフィシャルブログ)ともあるが。

      

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