Little Glee Monsterは前例のないボーカルグループへ “最高”を更新した全国ツアー最終公演

リトグリは前例のないボーカルグループへ

 Little Glee Monsterが9月2日からスタートさせた全国ツアー『Little Glee Monster 2017 秋ツアー「Let's Grooooove !!!!! Monster」』のファイナル公演を11月19日、東京国際フォーラム ホールAにて開催した。全23公演、総動員数4万人超を記録した今回は5人になってから初のツアーで、これまで以上にコンセプチュアルな内容だった。それはライブ本編のみならず、開演前から雰囲気作りが徹底していたところにも顕著で、ChicやEarth, Wind & Fireなどのソウルクラシックがたくさん流される中、途中でラジオDJ風のアナウンスが挟まれるなど、リトグリらしい工夫を随所に用意。つまり、会場に入った瞬間からライブはすでにスタートしているような状況なのだ。

 そんな、雰囲気満点のなかスタートしたライブ本編は、ショーの始まりを告げるラジオDJのアナウンスに続いて、ステージにリトグリの5人が登場。薄暗いステージの上で彼女たちはそのままアカペラを始め、場内に響きわたる彼女たちの歌声にガオラー(=リトグリファンの総称)はじっくり耳を傾けたり声援を送ったりと、思い思いの方法で早速ライブを楽しんでいるようだった。

 今回のツアーでは、ライブのオープニングとエンディングに本ツアーのためだけに制作されたオリジナルナンバーを用意。まるでショーアップされた音楽番組やミュージカルを観ているかのようなこの構成は、これまでの彼女たちのステージにはなかったもの。また、この日披露された楽曲群やその並びからも、今回のライブがリトグリのネクストステージを告げるものであることは明白だった。

 また、そんな楽曲たちを時にパワフルに、時に繊細に歌で表現していくリトグリ。この1年でその声の太さや安定感はより増したことで、また5人でこのツアーをここまで乗り切ったという自信の表れもあってか、公演中の随所随所でステージを楽しむ余裕も見受けられた。それは曲中に見られるちょっとしたメンバー同士のコミュニケーションや、自由奔放なMCからも感じられたし、なによりも観客とのコミュニケーションの図り方が以前よりも密になったことからも伺えた。正直、ここまで余裕がにじみ出たリトグリのライブは観たことがなかったんじゃないか……ライブが終わってからそんなことを思うほど、この日の彼女たちは以前とは別モノに見えたのだ。

 思えば、2017年のリトグリは初の日本武道館ワンマンライブという最高のスタートこそ切ったものの、メンバーの脱退やそれに伴うグループの立て直しなど、決して順風満帆とは言い切れないものだった。しかし、そういったピンチをチャンスに変え、彼女たちは昨年まで以上にアクティブに活動し、気づけば年末の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への初出場をつかみ取った。そう、この日感じられた余裕のようなものは、実はいろいろな困難を乗り越えたことで得た自信と、より密になった5人の絆が作り上げたものだったのではないだろうか。

 そんな彼女たちだからこそ、ライブでは新たなチャレンジも用意していた。ブラスセクションを含むバックバンドとのセッションパートではジャジーなサウンドに乗せて、メンバー一人ひとりが各楽器のソロプレイとスキャットで勝負を挑む。もちろんこれまでもこういった演出はあったが、今回はジャズテイストが加わったことで難易度的にもより高まり、それに応えようとする大人びたリトグリの姿を目にすることができた。

 大人びたといえば、ライブ中盤に披露された「I WAN'NA BE LIKE YOU」でのスウィングジャズ感や、さらに「Feel Me」での艶めかしさや表現力の向上した歌唱からもそういった要素が感じられ、もはや彼女たちは“歌ウマ少女”などと呼ばれていたフェーズを一気に飛び越え、日本では類を見ないガールズボーカルグループへと進化しようとしていた。

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