『ゼロの書』OPテーマでも話題 新世代アニソンシンガー たぴみるが提唱する“エモカワイイ”とは?

新人アニソン歌手たぴみるが掲げる“エモカワイイ”

 “エモカワイイ”をキャッチフレーズに活動する新人アニソンシンガー・たぴみるが、5月24日にシングル『発見者はワタシ』でメジャーデビューを飾る。同作の表題曲は、アニメ『ゼロから始める魔法の書』のオープニングテーマであり、作編曲を『ラブライブ!サンシャイン!!』などでもおなじみ石倉誉之氏が担当している。動画投稿者・実況者としての一面も持ち合わせる彼女は、「LINELIVE OF THE YEAR」を受賞するなど、さらにマルチな活躍も期待される逸材だ。今回のインタビューでは、引っ込み思案の彼女が「アニソンシンガー」を目指すようになったきっかけや、“エモカワイイ”というワードを掲げる理由、自身が目指す表現者としての立ち位置などについて、じっくりと話を訊いた。(編集部)

「自分にすごく自信がないけど、目立ちたがり屋なんです」

ーー様々な経歴を持つたぴみるさんですが、シンガーを目指すようになったきっかけを教えてください。

たぴみる:子供の頃からママチャリの後ろに乗って歌ったり、地元のカラオケ大会に出たがったり、目立ちたがり屋で歌うのが好きでした。お父さんがギターを弾いていたので楽器に興味があって、高校に入学してすぐ軽音楽部を見学したんですけど、先輩が男性しかいないし、みんな髪がツンツンで耳に穴もあいていて。メチャクチャ怖くて逃げようとしたら引き止められました(笑)。捕まって部室の端っこでオドオドしていたら、先に入部した同級生が「Don't say "lazy"」(アニメ『けいおん!』第一期エンディングテーマ)を弾きはじめたので、それに合わせて歌ったら「ボーカルやってよ」と誘われてバンドを組むことにしたんです。そこから活動を重ねていくうちにどんどん楽しくなって、歌うのが好きになりました。

ーー「Don't say "lazy"」がきっかけだったんですね。アニソンを好きになったのはいつからですか?

たぴみる:J-POP以外の楽曲を聴くようになったのは、アニソンよりもボーカロイドが先で。友達に適当に借りたゲームが『初音ミク -Project DIVA-』で、プレイするうちにJ-POPとは違う質感の歌詞に惹かれるようになったんです。中学時代も、読書の時間に本を忘れて隣の子に借りた本が『ゼロの使い魔』で、そこからラノベ(ライトノベル)を知って、受験シーズンなのに勉強せず深夜アニメを見るようになって(笑)。そんな風に周りの人たちの影響でどんどんハマっていきました。アニソンは当時のバンドメンバーが「コピーしたい」と教えてくれたり、アニメから知ったりと、色んな方向から好きになっていったんです。

ーーそこからなぜ、プロのシンガーを目指すようになったのでしょうか。

たぴみる:学校でライブを重ねるたびに、緊張や恐怖も取れて歌うのがどんどん楽しくなっていったんです。私、すごく自分に自信がなくて。たぴみるとしての活動以外では、いまだに友達がいない、外に出ない、人とコミュニケーションを取らないヤバい人間なんですけど、なぜか目立ちたかったらしく(笑)。

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ーーその過程で動画投稿者・実況者として人気を獲得したわけですが、どうしてこのジャンルにトライを?

たぴみる:動画配信をする前に、周りの方がこえ部(音声投稿サイト・2016年に終了)をやっていて、まずは自分の歌を聴いてほしいと思ってそこを利用していました。でも、動画のほうが見られるということを聞いて、「やりたいけどなー、どうしようかなー」とモジモジしていたんですけど、ニコニコ動画に投稿している歌手志望の友人から「うちでやればいいじゃん」と背中を押してもらって、家で機材を借りて動画を投稿するようになりました。実際に周囲にやっている人がいたのが大きかったですね。動画を投稿する前に、まずは試しに友達がニコ生でやっているゲーム実況に参加して、端っこでボソボソ言ってたんですけど、そのうち自分のチャンネルを作るようになって。渋々顔出しもするようになりました。

ーー顔出しにはあまり積極的ではなかったんですね。

たぴみる:「そのほうが見られるよ」と言われて、「ダメだったら辞めればいい」と思いながら半信半疑でアドバイスに従ったらすごく伸びたので、やるせない気持ちでそのまま顔を出すようになりました(笑)。そこから雑談メインでたまに歌うようになって。しばらくした後に「ネットでもトップの方は沢山いるし、プロになる人もいるなかで、自分が勝てっこない」と感じて、新しいことをしたいと思っていたときに、ニコ生でカラオケの凸待ち放送があって、そこに私がお邪魔したんです。そうしたら「ライブに出ない?」と誘われて、「パソコンの前だけではなく、色んなところで歌いたい」とスイッチが入りました。オーディションを受け始めて、まよさん(横塚まよ氏/所属事務所・株式会社COPLExxx取締役CCO)に出会ったのもこの頃です。アニソン系のオーディションで知り合って、最初は半信半疑でしたが、FRESH!で一緒にゲーム実況をやろうと誘われて。始めてみたら彼女の行動力が本当にすごくて、メンバーもどんどん引っ張ってくるし、色んな人に会わせてくれるし。もう少し地道に活動していくつもりだったのですが、「会社作るから来る?」と誘われて、気付いたら数カ月でデビューすることになっていました(笑)。

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ーーそう考えると、オーディションを受けるようになったのは大きな転機ですよね。あまり積極的ではないタイプのたぴみるさんがなぜオーディションへ挑戦するようになったのでしょうか。

たぴみる:活動を続ける中で、知人でも音楽をやっていて私より上に行く子も出てきたりして。素直におめでとうと言ってあげられない気持ちがあったんです。このまま普通のペースでニコ動を使って生配信していても、地道に人は増えるけど、私は普通になりたくないと思ってオーディションを受けるようになりました。でも、大抵のところは良いところまで行って落ちる、の連続でしたね。

ーー引っ込み思案なのかと思ったら、かなり負けず嫌いなんですね。

たぴみる:そうなんです。でも、悔しいと思ってもなかなか挑めないタイプで(笑)。基本は何も考えていなくて、自分で自分に鞭を打たないと動けないタイプなんです。ライブに誘われたときも「お客さん来るかな? 練習する時間あるかな?」と不安になったんですけど、とりあえず「やります!」と返事して、そこから開き直って必死に練習して舞台に立ちました。やるからには完璧にやりたいという小さいつまらないプライドがあって、やると決めたら「何にでもしがみついてやる!」とヤケクソになれることに気が付いたんです。

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