音楽ゲームはシームレスに発展? デレステ、Deemo、Arcaeaなどから新潮流を探る
近年、市場拡大の一途を辿るスマホゲームの中でも、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』や『Deemo』といった国内外の音楽ゲーム(音ゲー)アプリが盛り上がりを見せている。
特にアイドルのシミュレーション要素を取り入れた音楽ゲームの人気が高い。同ジャンルの火付け役である『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』(スクフェス)は国内利用者数2000万人、2015年9月にリリースされた『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(デレステ)は国内利用者数1700万人をそれぞれ突破している。
そんな音楽ゲームアプリの新潮流やシーンの変化を、ライター・物語評論家のさやわか氏に聞いた。
「音ゲーの展開を前提とした音楽アニメが増加傾向にあるため、必然的に音ゲーの数も増えています。その上、ハードウェアがスマートフォンの場合は、比較的コストや人手を掛けずに製作できるため、キャラクター性を活かしつつノベルゲームなどよりもゲーム性が欲しいと思った時の選択肢として、音ゲーが選ばれる割合は高いです。現在のブームを加速させたのは『デレステ』の成功が大きな要因でしょう。同作はファンの立場でゲームに参加できるところが画期的でした。合いの手やオタ芸のような打ち方がリズムアイコンに組み込まれていて、まるでライブを観て応援しているような感覚を味わえる。音楽面も優れていますが、なによりキャラゲーとしての魅力が大ヒットに繋がりました。もちろん、その流れは『スクフェス』などにさかのぼれますが、それをさらに『デレステ』が顕著化し、プレイヤーがゲームをプレイする意味をより一層明確にしたと言えます」
また、台湾のゲーム制作会社・Rayarkの『Deemo』や『Cytus』、イギリスのクリエイター集団・lowiroが制作した『Arcaea』といった海外発の音楽ゲームも日本で人気を博している。同氏は「日本の音ゲー文化は海外にも影響を与えている」と続ける。
「『デレステ』や『スクフェス』がキャラ重視だとすると、『Deemo』や『Arcaea』は音ゲー本来のゲーム性を突き詰めています。難易度も高く設定されているので、ストイックに音ゲーを楽しむための作品と言えます。『beatmania』や『pop'n music』をはじめとする伝統的な音ゲーや、ボーカロイド(ボカロ)など若い音ゲープレイヤーの嗜好を踏襲しているので、楽曲もエモーショナルなエレクトロサウンドが特徴的です。特に『Deemo』はピアノを大々的に取り入れているので、より一層エピックな楽曲になっており、熱心な音ゲーファンからの支持も厚いです。『Deemo』と同じく小規模なデベロッパーとして開発が開始された『Arcaea』も『SOUND VOLTEX』と似たゲーム性を持っていて、可愛いイラストとエモいサウンドが特徴的。それらには日本の音ゲーに通じる部分も多く、日本の音ゲー文化が徐々に海外へと広がっている印象を受けます」