けやき坂46は坂を“飛び越える”存在に? 初ワンマンに見た欅坂46とは別の可能性

けやき坂46は坂を“飛び越える”存在に?

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 このワンマンライブで初披露された新曲「僕たちは付き合っている」は、長濱ねるがセンターを務め、「ひらがなけやき」と同じくサビにおけるユニゾンの気持ち良さを前面に押し出しながら、ベース・ドラムによる横ノリも心地よいポップソングだ。そこから同じく長濱がセンターを務める「サイレントマジョリティー」へと繋がり、彼女の多面性を垣間見ることもできた。

 今回のライブにおいて、けやき坂46のさらなる可能性を感じた場面は2つある。ひとつ目は、先に記したミニコーナーの存在だ。今後どうなっていくのかはわからないが、欅坂46は先述の有明ワンマンでアーティスティックな世界観をストイックに貫いており、その完成度が高かったことを考慮すると、けやき坂46はファンとの距離感が近いコーナーを担当し、欅坂46との住み分けがされていくのではないかと推察する。

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 もうひとつは、2日間ともに披露された、Jackson5のカバー曲「ABC」だ。けやき坂46は、高瀬が英語を、佐々木美玲が中国語を、潮がインドネシア語をそれぞれ話せることから、結成当初より「この人選は海外展開への布石か?」と期待する声も多かった。この日全編英語でパフォーマンスされた「ABC」は、その期待をさらに膨らませるものといっていい。乃木坂46にとってのアンダーメンバーと同じく、けやき坂46にはグループの知名度をより外の世界へ広げる開拓者的な役割が求められるからだ。

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「私たちは坂を登るだけではありません! ここにいる誰よりも跳ぶことができます!」(佐々木久美)

 MCでグループを牽引した最年長・佐々木がそう叫んで披露したのは、本編最後の楽曲「誰よりも高く跳べ!」。欅坂46&けやき坂46楽曲のなかで最もファンク・ディスコに接近したこの曲は、「ABC」にも通ずるアメリカン・ポップス路線だ。今回のライブを通じて、彼女たちが示す“坂の登り方”はまた別のところにあるのだと感じた。今後はどこまでその強みを伸ばしていくことができるのか、という点にも注目だ。

(取材・文=中村拓海)

■セットリスト
1.ひらがなけやき
2.世界には愛しかない
3.二人セゾン
4.青空が違う
5.僕たちの戦争
6.手を繋いで帰ろうか
7.ABC(カバー)
8.僕たちは付き合っている
9.サイレントマジョリティー
10.誰よりも高く跳べ!
En1.W-KEYAKIZAKAの詩

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