“音楽×映像”はライブ体験をどう拡張する? DAOKO、Kezzardrix、backspacetokyoに訊く

“音楽×映像”はライブ体験を拡張する?

 スペースシャワーTV主催の音楽とカルチャーの大型イベント『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017』(3月3日〜7日に渋谷を拠点に開催)のひとつとして、3月3日に渋谷WWW Xで『SOUND &VISION』が行われる。"MUSIC×CREATIVE" をテーマとした同イベントには、きのこ帝国×MITCH NAKANO、DAOKO×Kezzardrix+backspacetokyo、HIFANA×GRVJの3グループが出演。それぞれ、普段のライブではなかなか見ることのできない、音楽と映像とアートが一体となったパフォーマンスを披露する。

 今回、リアルサウンドではDAOKO単独と、Kezzardrixとbackspacetokyoの二組へのインタビューを行った。普段のライブからVJを取り入れ、映像とともにその詩世界を伝えてきたDAOKO。そして、LITEなどのライブのVJを担当し、ぼくのりりっくのぼうよみのMV制作にも参加するKezzardrixと、映像制作、舞台演出テクニカルサポート等を手がけるプロダクションチームbackspacetokyo。それぞれの立場から、音楽と映像の分野においてその卓越したクリエイティビティを発揮してきた3アーティストが一同に会することで、どんな新たな音楽体験を生み出すことができるのだろうか。

 前半のDAOKOへのインタビューでは、彼女のリリックは映像を通してどう届けられるのか、そして、回を重ねるごとにアップデートされていくライブについて話を訊いた。(編集部)

「私の武器は歌詞、“言葉”だと思った」(DAOKO)

ーーDAOKOさんは以前からライブでVJを取り入れたり、MVもクリエイティブなものが多く、音楽だけではなく映像表現にも意欲的な印象があります。

DAOKO:ライブに関しては、最初にどう演出していくかを考えた時に、映像表現を取り入れて演出してみたいと思っていました。たとえば椎名林檎さんのライブは、映像ももちろん使ってるんですけど、総合芸術だなと感じていて。そういった総合芸術をやりたいと思った時に、私の武器は歌詞、“言葉”だと思いました。それをライブで体感してもらうため、歌詞を一緒に読み、その内容を受け取ってもらいながら音楽を楽しめるスタイルが合っているかなと思ったのが、映像を取り入れ始めたきっかけです。

ーー歌詞が視覚化されるというのは、DAOKOさんのライブのひとつの特徴ですよね。漫画チックなものや、縦書きのもの、書体や色の使い方にも様々なパターンがあって、こだわりを感じました。

DAOKO:ただ歌詞が流れていくだけでは視覚的な楽しさがないので、曲のテイストに合わせて、コミカルな曲は漫画みたいな吹き出しをモチーフに使ったり。曲とどう同期させるかというのは、プロデューサーと映像監督と話し合いながら作っています。アイデア出しの時点で、もっとこうしたら面白いんじゃないかといろんな提案をして、私がやりたい演出も織り交ぜています。

ーーDAOKOさんはニコニコ動画に曲を投稿していたところからキャリアがスタートしました。ニコニコ動画は音楽とアニメーションが一体となってひとつの作品になっている文化があると思うんですが、その影響もあるのでしょうか?

DAOKO:特に意識したことはありませんでしたが、世代的にもYouTubeやニコニコ動画が昔から身近だったというのはあると思いますね。常に音楽と映像というのが一体化されている状態で慣れ親しんでいるというのは、世代ならではなのではないでしょうか。SNSや動画サイトが流行り始めたのも2000年代に入ってからだと思うので、そういったカルチャーの変遷と共に自分も歩んでるかもしれないですね。ニコニコ動画を知ったのも、小学校5年生ぐらいで、友達と一緒に動画を見るのも日常的で。映像からの情報も鮮明に覚えてます。

ーー映像だけではなく衣装なども含めて、音だけではなく視覚でも人を楽しませたいとかドキドキさせたいというのがあるんですね。

DAOKO:そうですね。ライブパフォーマンスでは、いろんな角度からDAOKOを見て、それ自体が表現作品になっているかどうか、ということは日々考えています。ファッションやメイクに関しても、自分のアイデンティティが伝わるように、音楽とリンクさせて考えているところはあります。やっぱり、総合芸術でこそエンターテインメントだと思うので、エンターテイナーとしてどうしたらいいかっていうのは、常に試行錯誤していますね。

ーー過去にもスタジオカラーとコラボレーションを果たしていますよね(短編映像シリーズ『日本アニメ(ーター)見本市』の楽曲「ME!ME!ME!」をTeddyLoidと制作)。ご自身では、そういった映像作家やクリエイターの方から興味を持たれてる理由はなぜだと思いますか?

DAOKO:うーん……それは難しい質問。でも、もしあるとしたら、私は歌詞を書く時に、映像タイプというか、情景描写や心象風景みたいなものが頭に浮かぶことが多いんです。例えば恋愛ソングであっても、こういう男女がこういう風景でこういうこと話していて……とか、そういうシーンを浮かべながら歌詞を書きます。言葉っていうフィルターを通して映像をアウトプットしていくような私のやり方と、映像クリエイターのインスピレーションの沸き方は、もしかしたら近いものがあるのかなとは思いますね。

ーー歌詞を書く時も、情景からインスパイアを受けることが多いんですか?

DAOKO:そうですね。インディーズの時は自分の部屋でパソコンに向かって作り上げていくことが多かったんですけど、自分の中にあるものって限界があるなとも思っていて。最近は外的な刺激を受けることによって言葉が生まれてくるのが楽しくて、街を歩いたり場所を変えて歌詞を書いてみることもあります。狭い規模感で作り上げていく自分だけの世界もありながら、外の世界に目を向けてみることで、バリエーションが出てくるのかなとも思うので。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる