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ぼくのりりっくのぼうよみが見せた、シンガーとしての可能性  初ワンマン詳細レポート

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渋谷に刻まれた新時代の胎動

「前で見たい方はこちらの方までどうぞ」。開演直前、そんな係員の声が響く。人ごみをかき分けてでも、少しでも近くで今日の主役を見たい。そんな熱気がこの日の会場には溢れていた。

 昨年末にアルバム『hollow world』をリリースし、次代を担う才能として一躍注目を浴びることとなったぼくのりりっくのぼうよみ(以下ぼくりり)。デビューから約1年経った12月11日、初めてのワンマンライブ『ぼくのりりっくのぼうよみワンマンライブ Hello,world!』が渋谷CLUB QUATTROにて行われた。

 チケットは前売券でソールドアウト。立錐の余地もなく会場を埋めたオーディエンスの前に登場したぼくりりは、「sub/objective」「パッチワーク」というメロウな中にもポップなムードを持つ楽曲でライブをスタートさせる。そんな比較的ゆったりとした幕開けから、短いMCを挟んで3曲目に披露されたのは「CITI」。アッパーなトラックと『hollow world』収録時の音源よりも迫力のあるボーカルが、このライブ最初のピークを作り出す。

 「CITI」に続いて歌われたのが、今年の7月にリリースされたEP『ディストピア』に収録されているバラード「noiseful world」。情報に埋もれた人々が徐々に感覚を失い、最終的には<幸せの意味もよくわからないけど ぼくらはきっと幸せだ>というすべての思考を放棄した境地に辿り着く、美しくも恐ろしいこの曲。「CITI」がインターネットで跋扈する「ネトウヨ」の姿を描いた曲であることを考えると、「CITI」「noiseful world」という流れからは「人間性を失ったネトウヨの末路」とでも言うべきストーリーを読み取ることもできる。ぼくりりが歌う言葉は抽象的で様々な解釈ができるものが多いが、ライブ前半のパートでは既発曲を並べ替えることで『hollow world』『ディストピア』で描いた世界とは異なる物語を紡ぎ直すかのようなチャレンジが垣間見えた。

 ライブの中盤以降では、来年の1月25日にリリースされるアルバム『Noah’s Ark』に収録される新曲も多数パフォーマンスされた。ストレートなR&Bサウンドと言葉を詰め過ぎない歌の相性が良い「shadow」、世の中の空気を拒絶するですます調の歌詞がインパクト大の「在り処」、今までになく明るいラテンテイストの「after that」。どの曲も『hollow world』時にはなかった引き出しであり、『Noah’s Ark』でぼくりりが飛躍的な進化を遂げていることを期待させる出来ばえだった。

 様々なタイプの楽曲を披露するぼくりりに対して、この日のオーディエンスは「手を上げる」「手拍子をする」というよりは「随所に歓声を上げながらも、固唾を飲んで見守る」という趣の反応を返すことが多かった。熱気はあるけどそれが必ずしも身体的なリアクションにつながらない、というような雰囲気はこれまで彼が出演したイベント『CONNECTONE NIGHT Vol.1』や『VIVA LA ROCK 2016』の空気とはかなり異なるものだったように思える。参加者の平均年齢が比較的低そうだったことを考えると、もしかしたら初めてライブに来たというような層もそれなりに含まれていたのかもしれない。若いスターによって音楽の世界を知った若いオーディエンスがこれからどんなふうに音楽を楽しんでいくことになるのか、とても興味深いところである。

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