>  > LILI LIMIT、“未知のポップス”を生み出す発想術

1st Full Album『a.k.a』インタビュー

LILI LIMITが語る、“未知のポップス”を生み出す発想術「本や展示をきっかけに曲を作り始める」

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 山口出身の牧野純平(Vo)と黒瀬莉世(B)が土器大洋(G)の才能に惹かれて福岡に移住。そこに山口時代からバンドのファンだった志水美日(Key)や丸谷誠治(Dr)が加わり東京に拠点を移すと、期待のニューカマーとして一気に注目を集めてきた5人組、LILI LIMIT。彼らが7月のメジャーデビューEP『LIVING ROOM EP』に続いて、メジャー1stアルバム『a. k. a』を完成させた。

 牧野純平が「『LIVING ROOM EP』から咲いた花ではなく、むしろその幹のような作品」と語る通り、バンドが本来持つ多彩な魅力を溢れんばかりの情報量で詰め込んだ全13曲は、印象的なフックを持った各メンバーの演奏や牧野純平のリリカルな詞世界が絡み合い、頭と体とを同時に踊らせる、彼ら特有のカラフルなポップ・ワールドを伝えてくれる。その制作過程について、ソングライティングの中核をなす牧野純平と土器大洋の2人に聞いた。(杉山 仁)

「自分たちの変化がより分かりやすくなった」(牧野)

――メジャー1stアルバム『a. k. a』が完成しましたね。今回のアルバムについて、牧野さんが公式ブログの8月5日の投稿で言っていた「『LIVING ROOM EP』から咲いた花ではなくて、むしろその幹のようなアルバムだ」というのは、どういう意味なんでしょう?

牧野:今回の曲を考え始めたのは、『LIVING ROOM EP』の制作と同時期だったんですよ。『LIVING ROOM EP』はメジャー・デビューEPということもあって、僕らとしてはあの作品でLILI LIMITのことを知ってくれた人も多いと思っていて。今回はその人たちに、そこから咲いた花を見せるというよりは、もっとその下にあるバンドの根っこのような部分を提示できる作品になったんじゃないかと思いますね。

20161025-lili-int-1.jpg牧野純平

――『LIVING ROOM EP』の時には見せられなかった、バンドがもともと持っている別の側面が入っているというイメージですか?

土器:そもそも、今回のアルバムに入っている曲たちは、インディーズでのラスト・アルバム『#apieceofcake』(全8曲)を出した時からすでに作り始めていて、その時はそれほどコンセプトも立てられていなかったんですよ。ただ、これまで自分たち自身が影響を受けたフルアルバムについて考えると、流れが感じられて、なおかつ全編を聴くとちょうど満たされるようなアルバムだというの共通点があって。僕はMr. Childrenのフルアルバムが好きなんですけど、そういうアルバムたちって色々な曲が入っているのにちゃんと流れも感じられるので、僕たちもポンポン曲を入れただけのものにはしたくない、という気持ちはありましたね。

牧野:今回は、とにかく自分たちが今できるのは何なのかということを考えていきました。「メジャーというタイミングでちょっとだけ変わった姿を見てみたい」ということもディレクターの方に言っていただいて。だから、その年のトレンドも入れて、自分たちの変化がより分かりやすくなったというか、時代を感じられるアルバムになったなと思いますね。

――曲によって様々な工夫がされていますよね。1曲目の「A Short Film」というタイトルは、以前牧野さんが話してくれた「映画みたいな音楽が作りたい」ということともリンクしているような雰囲気を感じました。

牧野:ああ、言っていましたね。昔、僕の大切だった愛犬が亡くなったときに作った曲があって、その曲ができてちょうど1年後にこの詞を書くタイミングが来て。それで縁があるなぁと思いながら、「あいつのことを書いてみよう」と、改めて自分の過去を振り返りながら物語のように書いてみたんです。それでタイトルも「A Short Film」にして。今回MVも、フォーリーアーティストという映画の効果音をつけていく仕事をテーマにしているんです。これは映画の中ではあまり知られていない仕事で、でもなくてはならない本当に重要な仕事で。それって人生でいうと、僕らがここまで来る間に出会った、バンドを陰で支えてくれる、聴いてくれる沢山の人たちのことですし、そういう人たちとリンクするような作品を作りたいなと思って。今まで支えてきてくれた人への感謝を思って書きました。

土器:音楽的にはこれまでのLILI LIMITに影響を受けてできた曲ですね。牧野も言った「僕たちに今できることはなんだろう」ということを音に乗せたというか。過去をベースに、今LILI LIMITや自分の中で来ているサウンドを乗せたので、音的にも過去と今とが繋がってます。

――土器さんにとって「今来ているサウンド」というと、具体的にはどういうものですか?

土器:最近は割とインストゥルメンタルを聴くことが多くて、ジェイミー・エックス・エックスの作品を聴いたりしています。今は「誰かがどこかの部屋で作っているようなサウンド」が一番気持ちよく感じられるんですよ。だから、何の音かも分からないような、でも聴いたことのあるような音を曲にさりげなく仕込んだりするという意味で影響を受けましたね。他にも聴いているものは色々あるんですけど、そういう雰囲気を出してみたかったんです。

20161025-lili-int-2.jpg土器大洋

――確かに、「A Short Film」のイントロの部分は、ジェイミー・エックス・エックスの作品で使われているスティールパンのような音とも雰囲気が似ているかもしれません。一方、「Neighborhood」は歌詞がバグルスの「ラジオスターの悲劇」へのオマージュのようになっていて面白いですね。

牧野:ありがとうございます。それもオマージュしながら、徳永英明さんの「壊れかけのRadio」を入れてみようと思ったんです。そうしたら、怒られて……(笑)。実はもともと、〈本当の幸せ教えてよ/壊れかけのレディオスター〉という歌詞だったんですよ。

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