OBLIVION DUSTのK.A.Zが語る、バンドを続ける理由「音でハッピーになれる感覚がある」

K.A.Zが語る、バンドをやり続ける理由

KEN LLOYDというボーカリスト、OBLIVION DUSTというバンドとは何か

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──KEN LLOYDという存在は、K.A.Zさんからすると、どんな武器を持っているボーカリストだと捉えています?

K.A.Z:うーん……ステージに出た時の爆発力だったりとか。楽屋の時とはあきらかに違う人間になっていて、「あ、おもしろいな」と思うんですよね。だから、KENがうまくスイッチが入っていい調子になると、バンドがすごく活き活きとしてくる。彼が起爆剤というか、彼が今ひとつのりきれないとなると、すごくそれが、俺にしてもRIKIJIにしても見えちゃうというか。

──そのスイッチが入った時の爆発力が、K.A.ZさんがOBLIVION DUSTを続けている理由のひとつだったりします?

K.A.Z:そうですね。普段は案外おとなしい感じだったりするんだけど、KENがステージに立ってスイッチが入ると、ロックになりますね、ちゃんと。で、バンド全体がすごいドライブしていく。

 OBLIVION DUSTがすごく調子がいい時って、自分が演奏してるっていうよりも、自分が人の曲を聴いて思いっきりのってる感じになれるおもしろさがあるんです。ドライブ感があって、勝手にグイグイ押されてるような。「あ、これがバンドだよな、本来」みたいな。そこが……ほかであんまり感じることができないおもしろさですね、このバンドの。

──初めて聞きました、バンドってそういう感覚があるものだって。

K.A.Z:あるんですよね。演奏してるけど、演奏してるっていうよりも、音にのって暴れてる感じというか。ヘヴィな曲とか明るい曲とか関係なしに、音でハッピーになれる感じはありますね。それが不思議なんですよね。このバンドに、そういうものがあるというのは。

──たとえば、もっと外から客観的に見た時に、「今こういう音を出す、こういう曲をやるバンドがいるのっていいんじゃないの?」って思えるところはあります?

K.A.Z:ああ、どうなんだろう? ……わかんないですけど、もしかしたら、たとえば日本という国において、ロックって……テレビをつけても、やってる音楽ってだいたいもう決まったものであって。そういうものだけではなく、こういう音楽がポンと出てきたら、興味を持つ人ってすごくいると思うんですよ。だからみんなに聴いてみてもらいたい、っていうのはあるし。

  もしかしたら、アメリカやイギリスで活動してたらもっと違ったのかな、って思うこともあるし。日本で普通に歩いててロックを聴くことがあるかっていうと、なかったりとか。それは歯がゆいところはすごくあって。だけど、ロックすぎるロックじゃないほうが受け入れられる世の中であったりとか。「え、これ、歌謡でしょ?」みたいな。

──それが、10年前20年に比べるとよくなっている、というふうにはK.A.Zさんは感じられないということですね。

K.A.Z:はい。昔のほうが、ロックを聴いてる人が多かった、昔のほうがロック・バンドが多かったなと思ってますね。当時のほうが、洋楽も含め……たとえば「行儀悪くてもいいじゃん、かっこいいから」みたいなものが多かったりとか。あと、カリスマ的なものだったりとか、ちょっと毒づいたものは、当時のほうが多かった気がする。そういう意味での物足りなさを、自分は感じているのかなとは思っていて。でもまあ、演奏力は、今のバンドのほうがすごいとも思うんですけど。

もっとも衝撃を受けた「プロとしての音楽体験」

──K.A.Zさんが今みたいな考え方だったり、今みたいな音の作り方になった、大きな分岐点ってあったりしました?

K.A.Z:ええと……あったとしたら……たとえば、キリング・ジョークを初めて聴いた時、ギターの音がすごく気になって。「なんなんだろう? この音」と思ったんだけど、その時は深くそれを追求することはしなかったんですね。だけど、その後……一時、X JAPANのhideちゃんのレコーディングに参加した時、zilchのスタジオにも遊びに行ったりとかしていて、そこにキリング・ジョークのメンバーが来て。ボーカルのジャズとギターのジョーディが1曲演奏していったのを聴いて、それがもう「なんだこれ!?」っていうぐらい衝撃を受けて。

最初、ボーカリストが部屋をまっ暗にして、ピアノを弾いていて。クラシックとエジプトの音楽が混ざったようなピアノで。で、急に歌うって言い出して、歌い始めたんだけど、スピーカーから出てくる声があまりにも衝撃的すぎて。ボーカルを聴いて初めて「ギターやめようかな」って思うくらいの衝撃を受けて。ギターを聴いてそう思うんならまだわかるんだけど、ボーカルを聴いて「こんな人、いるんだ? 自分はやっていけるのかな」って思うくらいだったんですね(笑)。

  で、そのあとにジョーディがギターを弾いて、それもめちゃくちゃかっこよくて。コンソール・ルームで弾きながら倒れこんで、自分でスピーカーのボリュームをガーンて上げて、ギターを爆音で弾き始めた時……「これはヤバい、本物だ」みたいな。あれは今まで経験したレコーディングの中で、いちばん衝撃的でしたね。あの時から意識が変わったような気はします。それまで自分がやってたことって、まだアマチュアレベルだなと思うくらいの衝撃を受けたんで。自分は変わらないとダメだと思って、やっぱりそのあとからいろいろ……曲作りにしても、変わってきたかもしれないですね。

──今年もう一度ツアーあるんですよね。

K.A.Z:そうですね、12月から年明けにかけて。夏のツアーは、「さあ、みんなエンジンかかってきたぞ」っていうところで終わっちゃったんで。あと、来年でちょうど20年なんで……まあその間いろんなこともありましたけど、一応20年という感じで(笑)。だから、来年また新しい作品も必要になってくると思うし、次はこういうものにしたいというアイディアもあるし。アルバムにつなげたいですね。

(取材・文=兵庫慎司)

■リリース情報
New Mini ALBUM 『DIRT』
発売:2016年7月20日(水)
価格:¥2,100(税抜)
全7曲入り
<収録曲>
1 Death Surf
2 Lolita
3 Evidence
4 Under My Skin
5 Nightcrawler
6 Caprice
7 In Motion

■ライブ情報
20th Anniversary『OBLIVION DUST I Hate Rock n' Roll Tour 2016-17』
再結成後最大の全13公演
詳細近日発表

■関連リンク
HP
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OBLIVION DUST - UNIVERSAL MUSIC JAPAN

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