KinKi Kidsのコンサートは一味違う! パフォーマンスと2人の距離感が心を掴む

 デビュー20周年を迎えるKinKi Kids。9月21日には、約2年ぶりとなる通算15枚目のニューアルバム『N album』が発売され、9月29日からは東京・武道館公演を皮切りに、名古屋、宮城、大阪、札幌、広島、福岡と『KinKi Kids Arena Tour 2016』がスタートする。

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(C)タナカケンイチ

 実はKinKi Kidsのコンサートは、他のジャニーズアイドルのコンサートとは一味も二味も違う。まだ彼らのコンサートを見たことがないという人は、今すぐ8月10日にリリースされたライブDVD『2015-2016 Concert KinKi Kids』を手にとってほしい。セットリストにデビュー曲から新曲まで、いわゆる王道の曲が多く入っている今作は、KinKi Kidsのコンサートの“超入門”にふさわしいからだ。

 今作は、毎年恒例の年末年始に行われている大阪・東京ドームコンサートのうち、堂本光一の誕生日である1月1日公演の様子を収録したもの。なんと東京ドームで元旦公演を行なうのは、2016年で18年連続。もちろん、これほど長い記録を持つのは、KinKi Kidsのほかにはいない。今回は、このライブDVDを通じて、KinKi Kidsの魅力について、紹介したい。

ファンサービスではなく、パフォーマンスで心を掴む

 一般的なアイドルのコンサートは、手を振ったり、笑顔をふりまいたり、ウチワに書かれたリクエストに応えたり…と、ファンサービスが大きな魅力。だが、KinKi Kidsは、ここぞというときにしかそうした行動に出ない。なぜなら彼らの目指しているコンサートは、お客さんに「もう一度あのステージを見たい」と思ってもらえる質の高いパフォーマンスだからだ。

 今作のオープニングも、オーケストラバンドとコーラスの生演奏で、荘厳なメロディーが鳴り響く中、クールな表情で2人が登場。新曲「夢を見れば傷つくこともある」をしっとりと歌い上げていく姿は、まさに圧巻の存在感。

 堂本剛のボーカルは、彼自身がまるでひとつの楽器かのように、繊細でクリアに響き渡り、堂本光一は躍動感ある歌声で力強く、見ているものを惹きつけていく。

 個性と個性が調和し、絶妙なバランスで溶け込んでいく。そんなハーモニーに包まれながら「生で歌を聞く感動とは、こういうことか」と改めて感じられるのが、KinKi Kidsのコンサートなのだ。

 1公演1公演、そして1曲1曲が生き物。その瞬間を切り取ったDVDの映像を見ると、きっと「次は生で!」という気持ちにさせてくれる。

とにかく名曲揃い!時代を越えて愛される楽曲たち

 KinKi Kidsには、これぞ名曲と言いたくなる楽曲が揃っている。それもそのはず、KinKi Kidsはデビューシングル『硝子の少年』から36作連続で初登場1位を獲得。これは、今もギネス記録を更新中なのだ。

 今作のセットリストでも、松本隆、山下達郎、織田哲郎、秋元康、伊秩弘将…と、KinKi Kidsの才能に惚れた名だたるミュージシャンたちの楽曲が並ぶ。

 デビューから20年、今や30代後半のKinKi Kidsは、大人の余裕と色香が加わり、同じ曲でも聞くたびにその魅力が深まっていく。そんな楽しみ方ができるのも、長く活躍している2人ならではかもしれない。

深い愛を歌わせたら、天下一品

 KinKi Kidsは、マイナー調の曲がよく似合う。新曲「夢を見れば傷つくこともある」も、応援ソングでありながらも、ポップさや寄り添う感じはなく、どちらかというと突き放した印象。

 MC中に、この曲について話す2人は「まるで居酒屋みたい」「夢を見たら、傷つくことだってあるんだよ、な!」と、酔っぱらいのコント風に歌詞を語ってみせて、笑いを誘っていた。

 だが、あたりさわりのない励ましや慰めよりも、相手を思ってあえてキツめなことを言うほうが愛情深いときもある。「KinKi Kidsらしい応援ソングだ」という彼らの真意はそこにある。

 表面的ではなく、深層的な愛。このスタンスは、2人の相方愛にも通じているのではないかと感じる。

 ふだん表面的なコミュニケーションはとらないかもしれない。ストイックな2人のこと、今や励まし合ったり、慰め合ったりもしないだろう。きっと、求めるレベルも高いが、それをクリアしてくるお互いの信頼関係もあるはずだ。愛情ゆえの厳しさが、彼らの愛の形。だから、こうした歌が胸を打つのかもしれない。

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