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AI『みんながみんな英雄』なぜ配信で大ヒット? その理由をカバーの変遷から読み解く

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 松田翔太、桐谷健太、濱田岳、菅田将暉ら旬の俳優たちがおなじみの昔話のキャラクターに扮し、コミカルなやり取りを繰り広げることで話題のKDDI/auのCM「三太郎」シリーズ。CM総合研究所が発表した2015年度(14年11月~15年10月)の好感度ランキングでも堂々の1位を獲得するなど、その人気は右肩あがりだ。

 同シリーズはこれまで約40本制作されているが、中でも2015年末に公開された「春のトビラ・みんながみんな英雄編」が印象に残っている人も多いのではないだろうか。わずか15日間のみの放映期間ではあったが、主要キャラ総出のさまざまなシーンがコラージュされた映像は、それまでの芝居仕立ての演出による同シリーズ他作品とは明らかに違っていて、何よりAIが歌うCMソング「みんながみんな英雄」が強烈なインパクトを放っていた。配信限定リリースだったにもかかわらず、現在までに40万ダウンロードを記録。特に若者に人気のアプリ「nana」や「MixChannel」の動画に多く使用されたことによって10代~20代を中心に拡散され、ロングヒットとなっている。

 なぜ数あるCMソングの中でこの曲が印象深かったのかを考えると、「オクラホマミキサー」の日本語詞カバーという意外性にある。「オクラホマミキサー」といえば、日本ではよく知られたフォークダンスの定番曲。学生時代、運動会などで踊った経験のある人も多いだろう。さまざまな思い出とともに記憶に刷り込まれたメロディが突如テレビから流れてきたら、誰しも耳を傾けずにはいられない。加えて“au”と“英雄”をかける歌詞のキャッチーさ、高揚感を煽るアレンジ、ゴスペル隊のコーラスを従えたAIのソウルフルな歌声と、聴きどころは満載。カバー曲の可能性を改めて知らしめた一曲だった。

 思えば、JPOPでは10年ほど前からカバーブームが続いている。その火付け役となったのが、2005年に発売された徳永英明の『VOCALIST』だ。徳永が女性アーティストの楽曲だけをセレクトし、カバーしたこのアルバムは100万枚を突破する大ヒットを記録。現在までに8作がリリースされ、累計売上は600万枚を超えている。また、2006年には、SOTTE BOSSEがJPOPをボサノヴァ風アレンジでカバーした『Essence of life』を発売。ヴィレッジ・ヴァンガードなどの雑貨店を中心に売り上げを伸ばし、こちらも今なおコンスタントにシリーズが作られている。その後、歌唱力で勝負する王道カバーではJUJU、May J. 、クリス・ハートが、オリジナルとは違ったアレンジで聴かせるカバーではMACO(テイラー・スウィフト「We Areever Ever Getting Back Together」の日本語訳カバーでブレイク)やGoose house(YouTubeでさまざまなJPOPカバーを公開)らが台頭。実にさまざまな形で名曲が生まれ変わり、音楽シーンを賑わせた。昨今では、このブームはユーザーにも浸透。YouTubeやツイキャス、MixChannelといった動画サービスを中心に、過去曲ではなく新譜音源をいち早くカバーしてアップするという風潮も生まれつつある。

 話を「みんながみんな英雄」に戻せば、もちろん人気CMのテーマソングであることが要因ではあるものの、誰もが知る楽曲をまったく新しいかたちで提示してみせるチャレンジが功を奏し、同曲のロングヒットにつながったのではないだろうか。この取り組みにより聴き尽くされた古き良き定番曲が、今どきのJPOPとして多くの若者たちの耳に届くことにも繋がった。

      

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