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太田省一『ジャニーズとテレビ史』第十四回:『ジャニーズJr.のテレビ史』

ジャニーズJr.とテレビ番組の深くて長い関係ーー 『ガムシャラ!』に至るまでの歴史を紐解く

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 『ガムシャラ!』(テレビ朝日系)は、ジャニーズJr.による深夜のバラエティ番組だ。2014年4月からスタートし、現在は「スターは1日にしてならず。」というテーマのもと、岩橋玄樹らジャニーズJr.のメンバーが体当たりロケやゲームなど様々な企画に挑む内容になっている。Jr.一人ひとりの個性や意外な才能がわかるだけでなく、出演メンバーが固定されているわけではないので毎回いろいろなJr.が登場するのもファンにとってはうれしい点だろう。

 ジャニーズJr.は、例外的なケースもあるが、ごくシンプルに言えばまだCDデビューする前のジャニーズ事務所所属のタレントである。Jr.内ユニットも多く存在し、人気を集めている。

 とは言え、こんな説明も必要ないくらい、いまやジャニーズJr.の存在は知られるようになってきた。お笑いコンビ・ジャガーズが演じるコンサート中のJr.あるあるネタがそのまま通用していることなどは象徴的だ。すでにデビューしたグループがJr.時代にどのグループのバックダンサーであったかとか、その時にあった先輩後輩の交流エピソードなどもいまやトークの定番ネタになっている。数年前には、ジャニーズJr.に密着取材したドキュメンタリー番組が放送されたこともあった。

 話は1990年代後半にさかのぼる。その頃滝沢秀明、今井翼、嵐のメンバー、生田斗真、山下智久らがいたJr.の人気が沸騰し「黄金期」と呼ばれた。そして1999年には初の東京ドーム公演、2000年にはついに3大ドームコンサートを開催するまでになる。CDデビューもしていないことを考えれば、異例中の異例だった。

 同じ時期、テレビでもJr.をメインとしたバラエティ番組が始まる。1996年4月には内海光司を司会にした『愛LOVEジュニア』(テレビ東京系)が、そして1998年4月には、毎週水曜夜8時というゴールデン枠で『8時だJ』(テレビ朝日系)がスタート。『8時だJ』の総合演出は『タモリ倶楽部』、『タモリのボキャブラ天国』、『THE夜もヒッパレ』など数多くの人気バラエティ番組を手がけた菅原正豊、共演にはMCとしてその頃何本ものレギュラー番組を抱えていたヒロミとバックアップ体制も整い、海外ロケなども行われた。

 ジャニーズ自体も上昇気流に乗っていた。『愛LOVEジュニア』の前番組は『愛ラブSMAP!』だった。その終了直後、1996年4月から満を持して『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)がスタートし、SMAPはその地位を不動のものにしていく。またTOKIOが『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)で体を張った独自路線で注目を集め、V6がメンバー自らロケに出る企画で『学校へ行こう!』(TBSテレビ系)を人気番組に押し上げていったのも、同じ1990年代後半のことだった。

 そうしたなかで、個々のグループの枠を超えて、独特の世界観を持つ「ジャニーズ」というエンターテインメント、そしてそれを生み出す“仕組み”への関心が高まったのではあるまいか。それが当時のJr.ブームの背景としてあったように思う。

 バックダンサーとしてのジャニーズJr.の歴史自体は、1970年代に始まる。新御三家のひとりとして人気絶頂だった郷ひろみの初ワンマンショーがあった1973年、バックダンサーとして9人の「ジャニーズ・ジュニア」がお披露目された(矢﨑葉子『ジャニーズ輪廻論』)。そしてその後、そのなかの3人をメンバーに「JOHNNY’S ジュニア・スペシャル」(JJS)が結成され、レコードデビューする。1975年のことである。

 そのデビュー曲は『ベルサイユのばら』。この曲は、同名漫画、そしてそれを原作にした宝塚歌劇による舞台化が大ヒットして巻き起こった「ベルばら」ブームを受けて作られたものである。それとシンクロするように、薔薇の花をあしらったきらびやかな衣装で曲調も劇的な『ベルサイユのばら』を歌い踊るJJSは、ジャニーズの根底に流れるミュージカル志向を表現していた。

 ただJJSは、グループ名に「ジャニーズ・ジュニア」がそのまま入っているという意味では、デビューするとJr.でなくなるという現在の“仕組み”とはまだ違った部分もある。より現在に近くなってくるのは、少年隊が登場する1980年代だろう。

 Jr.の選抜メンバーから結成された少年隊は、デビュー前から「ジャニーズ少年隊」として『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)などの歌番組にもたびたび出演していた。そうした際に彼らが見せる鍛え抜かれたダンスは、それまでのジャニーズグループには見られなかったようなものとして注目された。1986年初演のオリジナルミュージカル『PLAYZONE』は、彼らの真骨頂を発揮した舞台だった。1990年代後半のJr.ブームの立役者であり、現在『滝沢歌舞伎』の主演・演出を務める滝沢秀明は、その伝統の後継者ということになる。

     
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