NAOKI MAEDAが語る“音楽ゲームに適した楽曲” 「品のいいアレンジにはどうやってもならない」

NAOKIが語る“音楽ゲームに適した楽曲”

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「イントロが静寂から始まるなんていうのは、特例を除いてありえません」

――数カ月アーケード稼働してみて、現状の手応えはどんな感じですか。

NAOKI:やはりローマは1日で成り立たないなと。積み上げ、積み重ねの中でそのブランドができてきて、お客さんとの信頼も形成されるわけですから。一大音楽ゲームを作り上げるために、どれだけの人と金と物を投資したかは身をもって知っているので、現在はその50分の1くらいの段階という感覚です。この段階だと、一大音楽ゲームシリーズと同じクオリティの作品を1作目から作り上げたとしても、結局ブランドがまだ出来上がっていないから、その差で劣ってしまうのは仕方ない。だから、今はもう本当に頑張らなきゃいけないと感じています。

――ありがとうございます。続いては音楽面について掘り下げたいのですが、音楽ゲーム用の楽曲って、普通のポップスやクラブミュージックとはちがう尖り方をしていますよね。音楽ゲーム楽曲としてウケる、使いやすいものの特徴とはなんでしょうか?

NAOKI:まず、全体的に派手であることですね。とくにアレンジが派手であること。イントロが静寂から始まるなんていうのは、特例を除いてありえません。当然、曲の構成としてAがあったらA´、BからB´、そしてCへ向かわせたいと思うのですが、それだと垂れちゃうんですよね。音楽ゲームの場合、プレイ時間の1分30秒から2分で人に楽しみを感じさせなきゃいけないので、通常なら30秒使うはずのイントロを10秒に縮めるし、そのための「いろは」というものがあるんです。最初は白玉(二分音符や全音符などのロングトーン)でグッといきたいけど、最初から叩かせるために、色んなオブリガートやフレーズを走らせて。しかもプレイヤーに聴こえるようにしなきゃいけないから、そのオブリを前に出したりしないといけないんですよ(笑)。

――ノーツを増やすために主旋律以外の音を上げまくるんですね。

NAOKI:そう! でもAメロから派手めに「ゴーン!」と行ってしまうと“サビどうするか問題”があるわけで。だから主旋律は派手にいかずに、アレンジで盛り上げるためにトラックをとにかく積む。それがBメロになってさらに膨らみ、サビで爆発し、間奏に進みます。間奏は歌モノであればあるほど自由が利くので“殺しゾーン”が作れる(笑)。最後に落ち着いて終わるなんてありえないですからね。

――どんどん難易度を高くしないといけないですからね。

NAOKI:そういう意味では品のいいアレンジにはどうやってもならないんですよ。トラックがやたらめったら入っていて、リフもいっぱい走っていて、しっちゃかめっちゃかで……(笑)。でも、ゲームデータを作る人間のことを考えると、タッチする要素を曲の中においてあげないといけないから仕方ない。それはボス曲などの高難易度であればあるほどそうで。

――逆に、回復譜面はどういう意図でつくっているのでしょうか。

NAOKI:譜面チェッカー的な役割の人がいて「これ以上激しくするとモチベーションが下がる」みたいなことを判定するわけです。あと、“殺しゾーン”を作りたいけど全体のノート数を上げれないときに作ることもありますね。

(C)CAPCOM CO.,LTD.2015 ALL RIGHTS RESERVED.

後編【「技術が先行して作った音楽は、目がないだるまみたい」NAOKI MAEDAがクリエイターとしての信条を熱く語る】へ続く

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