>  > あいみょんの反骨精神とユーモアのルーツ

2016年注目のアーティストーーあいみょんインタビュー

「私は言いたいことを言い続けていく」 あいみょん、反骨精神とユーモアのルーツを語る

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 2015年3月にタワーレコード限定シングル『貴方解剖純愛歌〜死ね〜』をリリースし、19歳でデビューした兵庫県西宮出身のシンガーソングライター・あいみょん。5月に1stミニアルバム『tamago』、そして12月2日には最新作『憎まれっ子世に憚る』をリリースし、強烈な言葉とポップミュージックを融合させた独自の世界が話題となっている。2016年最も注目したいシンガーソングライターとして、リアルサウンドでは初のロングインタビューを敢行。最新作のコンセプトから、影響を受けたアーティストや映画、本など彼女のルーツにまで迫った。飄々とした語り口から伝わってくる、彼女の“感情の源泉”とは――。

「普段から死ぬことを恐れながら生きている」

――あいみょんさんの楽曲を聴いていると、独特なリアリティのある言葉に新しさを感じます。2枚目のミニアルバム『憎まれっ子世に憚る』でも、刺激的なフレーズがたくさん出てきますが、リリース後の手応えはどうですか?

あいみょん:前作『tamago』でめっちゃいいアルバムを出すことができたなと思ったんですけど、今回はそれを超えたなと思っています。前作よりも自分がやりたいようにできたところがあって、特に選曲のバランスにはかなり悩んでこだわりました。その中でも「おっぱい」という曲は、どうしても今出したかったんです。女性のシンガーソングライターが“おっぱい”について歌うというのは、多分、今までにはなかっただろうなと思って。

――「おっぱい」は最初に聴くとき、何が歌われるのかとドキドキしましたが(笑)、普遍的な女の子の気持ちが歌われています。

あいみょん:男性目線の“おっぱい”の曲はあるけれども、女性目線の曲はないな、と思ったのが曲を作ったきっかけです。思春期の頃の女の子なら絶対に、こう思っていただろうな、ということに自分も重ねつつ作詞をしたんですが、言葉選びには悩みましたね。

――曲も含めて一気に作った、という感じでしたか?
あいみょん:そうですね。今回のアルバムは全7曲あるんですけど、わりとサラっと書けた曲もあれば、この曲のように言葉選びに悩んだりした曲もあります。

――他にも強烈な印象がある曲が多くて、中でも1曲目の「どうせ死ぬなら」が作品全体のイメージを作っているように感じました。<棺桶蹴飛ばして怒るの 閉所恐怖症なの><涙をながしながら 笑って見送って欲しい 無理やり私の大好きな俳優を連れてきてよ>など、ストレートで、かつユーモアもあって。

あいみょん:これは確か19歳の時に書いた曲なんですけど、私、普段から病気かなって思うくらい、死ぬことを恐れながら生きているんですよね。極端な話、“今、殺されるかも”みたいなことを思って生きていて、そういう気持ちが19歳の頃がいちばんひどくて。死ぬのが怖いからこそ、“どうせ死ぬのなら二度寝で死にたい”とかいろいろ考えていて、それで遺言を書くような感覚で作りました。

――“二度寝で死ぬ”という表現はとても独特ですよね。

あいみょん:例えば仕事に行く前に、“まだ寝れるわ~ラッキ~”みたいな感じで寝て、ふわっと死ねたら最高やなと思って。(笑)

――“死”が怖いということですが、一般的には、まだそれほどリアリティがある年代ではないと思います。それでも強くそう思うのはなぜでしょうか。

あいみょん:やっぱり、世の中が物騒だな、と思ったりすることもありますし、実は親より先に死にたいとずっと思っていて。私は家族が多くて、自分より下に弟が3人、全部で6人兄弟なんですね。弟たちにとって両親はまだまだ必要な年齢だから、お母さんとお父さんが死ぬくらいやったら、自分が先に死にたいっていう。でも死ぬのは怖いから、みんな長生きしてほしい。つまりは誰も死んでほしくないです。

――冒頭にもお話しした「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」にも<死ね>という表現がありましたが、いわば逆説的な感情表現として使われていました。歌詞において、自分の思いと真逆の表現をすることもあるということでしょうか。

あいみょん:あります、あります。普段は自分が思っていることを中心に作詞をしているんですけど、私と反対の意見の人の気持ちを考えて詞を書いたりすることもあります。ただ、基本的には、わりと言いたいことを素直に言っている曲が多いんですね。だから、言葉数もいっぱい詰まっていて。

――それでは今作の中で、一番自分と重ねて書いた曲は?

あいみょん:「どうせ死ぬなら」と「19歳になりたくない」ですかね。この2曲はまさに自分自身のことを書いている曲なので、結構重なっています。

――一般的には20歳を人生の区切りと考えることが多いと思いますが、19歳という年齢は、あいみょんさんの中で特別なものがあったのですか。

あいみょん:めっちゃあります。高校を卒業して、大学には行ってないんですけど、18歳ってホンマに自分の好きなことしかやってなかったんですよ。とりあえずバイトしてお金を貯めて、好きなもの買って……みたいなことをしているうちに、日々がめちゃめちゃ充実してるなって思っていて。ただ、別に根拠はないんですけど、19歳になったらそれがなくなるかもな、みたいな思いがあって。今は友だちも遊んでくれてるけど、みんな大学に行ってるから、これからもっと忙しくなるはず。そう思うと、なんか怖いなって。それで、19歳になりたくないな、と思って書きました。

――この「19歳になりたくない」もそうですが、あいみょんさんの曲は“人にはこういう感情があるんだ”と気付かされることがあります。歌詞を書くときは、聴き手のことを想像しながら書くんですか?

あいみょん:聴き手のことは、あんまり考えないですね。言葉は無理に選ばず、自分の言いたいことをとりあえず書いています。

――その思い切りの良さが、あいみょんさんの歌詞の魅力かもしれません。これまで歌として表現されてこなかったものがストレートに出てくるというか、いい意味で一線を越えてくる感じがあって。

あいみょん:私はそれがいいもんやと思って、自然に書いているんですよね。「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」も“面白い”という反応と、やっぱり“そんなこと言ったらアカン”という賛否両論がめちゃめちゃ激しかった。わりと評判よかったかなと思いながらも、いろいろな意見にさらされるなかで、自分がもっと病むかな、とも思ったんです。でも、両方の意見をしっかり受けとめられました。お母さんからも“やめてよ〜”って言われましたけど、これは曲として、感情を表現したものだから許して、と伝えました。

――「どうせ死ぬなら」も、ご両親としては心配な部分もあるでしょうね。

あいみょん:〈父ちゃんと母ちゃんのあいだに挟まれて(死にたい)〉という歌詞があるんですけど、“なんて親不孝もんなんだろ、この子は……”“ここだけ聴いて、いつも泣いちゃう”って言ってました。結局、親より先に死ぬっていうことをここで伝えているから、“親不孝もの”って。さっきも言ったように、死ぬのが怖いことの裏返しなんですけどね。

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