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土佐有明のクラムボン武道館公演レポート

クラムボンが武道館公演で見せた、ミュージシャンシップの高さと“ギャップ萌え”

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 少々迂回するが、クラムボンが11月6日に日本武道館で行ったライブの模様を伝える前に、ひとつ、記しておきたいことがある。彼らはこの日、ライブ会場限定で「Slight Slight」というシングルを販売した。tofubeatsとFORTのリミックスが収録された3曲入りシングルだ。そして、ライブのMCで来年2月のツアーでミニ・アルバムを会場限定販売し、会場では一部を除きメンバーによるサイン会も行うことを発表した。クラムボンのミトは以前、本サイトのインタビューで「今の日本の音楽シーンって、プロモーション、制作、宣伝、ライブ活動全般があまりにも同じことを繰り返してるだけのように見える」と話しているが、こうした危機意識がライブ会場限定でのリリースに繋がったのだろう(参考:クラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」)。

 筆者はいち時期アイドルのライブに頻繁に通っていたのだが、その時の目当てのひとつは、会場でしか買えない手焼きのCD-Rだった。ネットで手軽に情報が手に入るから今だからこそ、現場に足を運んだ人に貴重な体験を提供しよう、という姿勢がアイドル運営からもクラムボンからも窺える。現状を冷静に分析した上での賢明な策略と言えるだろう。

 ライブ本編の話に移ろう。ステージには円状のボードのようなものが置かれ、その上に3人が乗って演奏する。円をすっぽりと覆うように幻想的なベールが時折降りてきて3人を包む。だが、それ以外に特別な演出がなされるわけではない。照明はライブを効果的に盛り上げていたが、それも基本的にオーソドックスなもので、ステージの中心はあくまでも3人の演奏だ。驚いたのは、3人だけでこれだけ濃密な音が出せるんだ、ということ。菅野よう子やMOROHA、徳澤青弦、室屋ストリングスといったスペシャル・ゲストは登場したものの、足りない音を補うためにサポート・ギタリストを入れたりということはない。それでも3人による音圧は「武道館が広い」と感じさせることは一瞬たりともなく、むしろ2階席も含めた空間を完全に掌握・支配していたという印象すらある。これは3人のミュージシャンシップの高さの成せる業だろう。

     
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