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DJ KRUSH × tha BOSS特別対談 KRUSH「すべて繋がってる、バタフライ・エフェクトだよ」

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 tha BOSS(THA BLUE HERB)の初となるソロアルバム『IN THE NAME OF HIPHOP』が10月14日に、DJ KRUSHの11年ぶりとなる新アルバム『Butterfly Effect』が10月28日に、それぞれリリースされる。tha BOSSの『IN THE NAME OF HIPHOP』には、grooveman Spot、Olive Oil、PUNPEEらがトラックを提供しているほか、フィーチャリングアーティストにはB.I.G.JOE、BUPPON、ELIAS、YOU THE ROCK★、YUKSTA-ILL、田我流(stillichimiya)らが名を連ねている。一方、DJ KRUSHの『Butterfly Effect』には、新垣隆、Crosby Bolani、Divine Styler、Free the Robots、Yasmine Hamdanらが参加している。そして、両作にはふたりがフィーチャリングした楽曲「LIVINGIN THE FUTURE」が、それぞれ収録されている。DJ KRUSHは、THA BLUE HERBの才能をいち早く見抜き、世界中でそのレコードをヘビープレイすることで彼らをフックアップした人物で、tha BOSSにとっては恩人ともいえる存在だ。また、DJ KRUSHにとってもtha BOSSは、唯一無二の存在感を放つMCとして、これまでも「Candle Chant(ATribute)」などでフィーチャリングを果たしてきた。偶然にも、近しいタイミングでメモリアルな作品をリリースしたふたりに、おたがいの新作についてや、「LIVINGIN THE FUTURE」制作時のエピソード、そしてそれぞれのヒップホップ観まで、じっくりと語り合ってもらった。



BOSS「KRUSHさんの上がりは断トツに早かった」

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tha BOSS

ーーかたやトラックメイカーの豪華さ、かたや客演のアーティストの豪華さ、内容的にももちろんなのですが、tha BOSS[THA BLUE HERB]とDJ KRUSHのディスコグラフィーの文脈も考えると、聴いていて胸が熱くなる2作品でした。



KRUSH:俺の場合は前作から11年経ってるんだけど、その間、世の中の人にとっていろんなことが起こってる。目の前の石につまずかなきゃ調子よく行けたんじゃないかとか、予期せぬことがたくさんあったと思う。ただ、それがきっかけで人生が前向きに変わっていった人がいるかもしれないし、様々なケースが考えられる。まあ、先のことはわからないですよね。特に3.11以降、人間がしでかす事件もそう。それらをひっくるめて、俺たちは未来に向かって進まなきゃいけない……という感じ。それが、アルバムのコンセプト的なものになっているかもしれない。これまでに何度かアルバムを出そうと取り組んでいたこともあったけど、あんまりうまくいかなくて。それに今は作品の販売形態が変わってる。俺が若い頃はCDやアナログが中心だったけど、今はデジタルじゃないですか。それもあって、なかなかアルバムのリリースにはこぎ着けられなかった。海外のいろんな現場をまわってきて、「アルバムはまだ出さないのか?」ってたくさん聞かれるわけです。“出す出す詐欺”じゃないけど、こっちもそれが申し訳なくて……(笑)。で、今回はいろんな条件が整ったことで、ようやくリリースすることができた。



ーー新垣隆、Free the Robots、Divine Styler、Cros by Bolani、Yasmine Hamdan、そしてtha BOSS[THA BLUE HERB]といったゲストに関しては?



KRUSH:アルバム全体を考えてゲストを決めていくんです。ラップ、ヴォーカル、そしてDJ。各セクションで何人か名前を挙げるわけですよ。曲のコンセプトと照らし合わせたとき、面白くやってくれそうな人たちを。新垣さんが参加している「Nostalgia」に関しては、候補を3人くらい挙げて、その中でいちばん合わなそうな人ってことで、新垣さんにお願いしたんです。この曲のトラックはメロウで、自分としては、田舎の田園風景……ガキの頃にセミ採りしていたような雰囲気をサウンドにしたかった。だから、それを現代音楽が本流の新垣さんにぶつけたら面白そうだなって。



ーーでは、tha BOSSさんがソロアルバムを作ったきっかけは?



BOSS:THA BLUE HERBはO.N.Oと2人で曲を作っているんだけど、2012年にリリースした『TOTAL』が、俺たちの中では「これが頂点」っていう主観があって。これ以上ないところまで作り込んだし、自分たちの中では完璧なレベルにまで到達することができた。昔は1発のレコーディングで勝負するっていう空気も好きだったし、実際にやり直しがきかない環境にあったけど、テクノロジーも発達してきて自分たちでコントロールできるようになってきた。そうなると完璧なものを求めるようになるし、実際にそうやって『TOTAL』は作ったんだけど、このままこの道を進むのは危ういなっていう気持ちも一方にはあった。ヒップホップにはラフさも必要だしね。それを考えたとき、違うことにチャレンジしてみたいなと。O.N.O以外のビートメイカーとTBHRでは一緒にやったことがなかったし、そういう経験を経て、またO.N.Oと一緒にやったらまた新しいものが生まれると思った。だから『TOTAL』をリリースした直後だね、ソロアルバムを出そうと思ったのは。



ーー今回、それぞれのアルバムにお互いが参加していますよね。「LIVINGIN THE FUTURE」という同じ曲で。



KRUSH:こういうことするの、俺は初めてだったんだよね。それぞれのアーティストのアルバムに同じ曲が収録されていて、しかもエンジニアやミックスが違う。


BOSS:そういう意味で、TSUTCHIEさん(※tha BOSSのアルバムでミックスを担当)は大変だったと思いますよ。KRUSHさんの音源の方が先にできていたから、ある意味、そこが基準になるわけじゃないですか。


KRUSH:エンジニアやミキサーも含めて、みんな命削ってるからね。今は誰もが簡単にネットに音源を上げられる時代。ただ、楽曲がすごく良くても音質が酷かったりとか、そういう状況の中でアナログの時代を経験している我々からすると、エンジニア共々、そこはしっかりこだわっていきたいところではある。機材じゃねーんだよって。俺が使ってるPro Toolsも古いバージョンだしね。DJとして何が必要なのかってこと。そこも含めての「アルバム」だよね。


BOSS:今回、ダメもとでKRUSHさんにオファーしたら、「俺もアルバム作ってるから、お互いの作品に入れよう」って提案してくれて、まずは俺からリリックを送ったんですよ。曲調はこういう感じですって、イメージを伝えたら、すぐにレスポンスがあった。俺は同時進行で10人以上のビートメイカーと制作してたけど、その中でもKRUSHさんの上がりは断トツに早かったね。


KURSH:2001年に俺のアルバム『漸』で一緒にやった「Candle Chant(ATribute)」のときもそうだったけど、BOSSの詞を読むと、世界観がパッと見えるわけだよ。なおかつ念を押すように、具体的なイメージを伝えてくれる。そのイメージの合致ってすごく大切で。そこが決まりさえすれば、あとはリリックに沿った景色を描いてあげればいい。だから、BOSSとは意思の疎通が早いんだよ。


BOSS:やり取りも3往復くらいだったと思う。


KRUSH:メールの言葉も少ないんだ(笑)。いつも2行くらいしかない。でも、それで伝わるんだよね。


BOSS:面白かったのが、KRUSHさんって超朝型で、俺が寝ようとするときはガッツリONのモードに入っていて、逆に俺が活動モードに入る夕方6時くらいになると、「もう酒飲んでるから、今日はダメ」みたいな感じで(笑)。ほんと職人の世界だよね。それはO.N.Oもそうなんだけど。ラッパーはいつでも紙とペンがあればメモれるけど、ビートメイカーは機材ありきだし、自分のルーティーンっていうのがあるから。


KRUSH:最近は朝5時くらいに目が覚めるから、朝飯食べて午前中からできることやってる感じだね。年を取るとそうなるんだよ。朝方からBPM60で打ち込んでいるヤツは、たぶん俺くらいなんじゃないか(笑)。



ーー制作のスタイルも昔と変わってきている。



BOSS:1999年~2000年くらいはメールでやり取りすることはなかったから。せいぜい電話で軽く打ち合わせして、スタジオに入ってから作業するみたいな感じでしたよね。


KRUSH:今は音のやり取りがメールでできるからね。すごいよね、そう考えると。


BOSS:レコーディングするまでにほぼ完成しているから、現場ではほぼ録るだけ。


KRUSH:あとは、細かい技術的な詰めも現場ではする。曲を生かすも殺すもそれが結構大事だったりするんだけど。



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