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DJ KRUSH × tha BOSS特別対談 KRUSH「すべて繋がってる、バタフライ・エフェクトだよ」

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KRUSH「BOSSは物語を見せてくれるタイプのMCだった」

20151011-krush-08_th.jpgDJ KRUSH

ーーKRUSHさんは1998年頃、THA BLUE HERBの「知恵の輪(THIRD HALLUCINATION CHAOS)」でBOSSさんを見出したといっても過言ではないと思うんですが、最初に聴いた時はどう思いました?



KRUSH:ビックリしたよ。こんなタイプのMCがいるんだって。オケもすごくカッコいいんだけど、とにかくうれしくて、この曲は海外の現場でも絶対にかけようと思って頻繁にプレイした。単純にいい音楽だったから、紹介したかったんだよね。俺にとってはリリックの内容も新鮮だった。当時は東京のヒップホップばっかり聴いてたからね。トラックメイカー的にはリリックを見て、「こいつのトラック作りたい」って思うかどうかって大事なところで、金だ女だっていうリリックの内容も大事なスタイルだけど、それだとこちらの創造力があまり掻き立てられない。そういう意味で、BOSSは物語を見せてくれるタイプのMCだった。こちらが作りたくなるラインを書いてくれるMCだね。


BOSS:ありがとうございます。直接そういってもらえるのは初めてだから、嬉しいですね。当時の俺たちは生活も含めてギリギリのところにいて、首の皮一枚ってところまで追いつめられていたから。蜘蛛の糸じゃないけど、最後の最後で手を差し伸べてもらった感じ。それをずっと待っていたようなところもあるけど。結局、俺たちは札幌から投げかけることはできても、中央で評価されないとどうしようもなかった。あの瞬間から俺のラップ人生が新たに始まったんだ。お金や生活の面も含めて。だから、今もそれが続いている。


KRUSH:バタフライ・エフェクトじゃん。


BOSS:そうですね。俺の人生において。


KRUSH:だから、俺が自分のDJで最初にTHA BLUE HERBの曲をかけたのも、「Candle Chant(A Tribute)」で一緒にやったのも、今回こうやって一緒にやったのもそうだけど、すべて繋がってるんだよ。俺はBOSS以外のカッコいいMCの曲も日本人や外国人問わずDJで使うし、そういう意味で最初のきっかけは小さかったと思う。だから、ほんとバタフライ・エフェクトだよね。


BOSS:いろんな曲をセレクトするDJっていう立場を考えると、そういう「余波=エフェクト」は他にもあるんだろうけど、その中の1つとして俺があるっていう。光栄です。



ーー僕はKRUSHさんのミックスCD『CODE4109』(2000年)を聴いたことがきっかけで、インストのヒップホップを掘り下げるようになったんですが、あのCDにも「知恵の輪」は入ってましたよね。



BOSS:あの頃はDJが何をミックスしているのかが、未知の世界の扉になっていたよね。今はどこに住んでたってベッドルームから世界中のクラブ・ミュージックと繋がれるけど、あの頃はフロアの目の前にいるDJが何をかけているのかが大きな影響力を持っていた。DJブースの前にかじりついて必死で何のアナログかチェックするみたいな(笑)。俺たちの作品はその中の1枚だったってことだよ。


KRUSH:情報の伝え方が今とはぜんぜん違うからね。


BOSS:探求するのも楽しかった。



ーーそういう時代から今に至るまで、クラブ・ミュージックのシーンの変遷についてはどう見ていますか?



BOSS:基本は変わらないんじゃない? 誰かがカッコいい音源を見つけてきて、現場でそれをかける。俺が遊びに行くハコは今もそういうところだけど、その一方で若い子がレコードやCDを買わないっていう現実もある。だから、みんながどうやって楽しんでいるのかは俺にもわからない。


KRUSH:ざっくり言うのは難しいよね。細分化しているから。



ーーヒップホップに関しては?



BOSS:常に面白いアーティストが出てきてるし、そもそも変わっていくものだしね。ベテランも若手も頑張ってるしさ。続けていくのも大変だよ。90年代は確かにすごく盛り上がっていたけど、今振り返れば一瞬だった。でも今は、日本各地に面白いヤツがいて、質もすごく上がってると思う。その中で俺は自分がいいと思う曲を作って、いいと思うライブをやる。それを淡々と約18年続けてきただけ。


KRUSH:俺はMUROと一緒にやっていたKRUSH POSSEの頃はすごくヒップホップ的に見られてて、MUROがラップして俺が後ろにいてっていうスタイルだった。で、KRUSH POSSEが解散して、俺一人だけになったんだけど、当時はMCがいないヒップホップなんてありえなかったから、どうしようかと迷いに迷って。KRUSH POSSEの時はでっかいレコード会社にデモとか持って行ったりしたけど、一人じゃ何もできない。でもプライベートでは子供もいたから、自分のガキにメシを食わせなくちゃいけないし、なんとかして仕事にしたかった。いろいろ考えた結果、アメリカのヒップホップをマネしていたらダメだなと思って、自分にしかできないものを探っていくことにした。それを本気でやった結果が、「トリップホップ」とか言われたりして。だから、俺は「日本のヒップホップ」っていうのものとは、ちょっと違う場所にいたんだと思う。ただ、日本を飛び出してヨーロッパで評価されて、そこからアメリカにも渡って、日本に戻ってきたとき、自分の音楽の遺伝子の種が少しだけ蒔かれてる…みたいな実感はあったよ。で、また世界を2周くらいして日本に戻ると、もっと多くその種が蒔かれてるなって。クローンみたいなのが出てきたりね。俺はヒップホップの王道ももちろん好きだけど、俺が求めたのは「自由」だったんだ。いろんな色の筆を使うし、いろんな絵を描く。でも、その根本では「ヒップホップにヤラれてるんだよ」ってこと。あと、そうやって自分のやりたいことを突き詰めることが、将来的にヒップホップへの恩返しになるんじゃないかなと思ってる。俺が作るものがヒップホップなのか、ヒップホップじゃないのかはどうでもいい。ただ、俺のルーツにはヒップホップがあるんだよってことだね。

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