>  >  > 武藤彩未が見せたボーカリストの才覚

宗像明将が『A.Y.M. ROCKS ~ROCKな夜~』を分析

武藤彩未が見せたシンガーとしての力量 バンドサウンドで披露した“引きの美学”とは?

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 90年代以降の楽曲をカバーしようが、サウンドがロックになろうが、武藤彩未のボーカリストとしての実力はさらに確かなものとなっていた。2015年6月9日に渋谷CLUB QUATTROで開催された武藤彩未のワンマンライブ『A.Y.M. ROCKS』初日の『A.Y.M. ROCKS ~ROCKな夜~』はそうしたライブだった。

 2015年4月29日に渋谷公会堂で開催されたワンマンライブ「BIRTH」から、わずか2ヶ月足らずという短いインターバルで開催された「A.Y.M. ROCKS」は、ライブでカバーされる楽曲が事前に公式サイトでアナウンスされているという異例の形式だった。

 会場に入ると、「AYM ROCKS」という大きな文字がステージの背後に飾られていて学園祭っぽさを出していた。実はこれ、武藤彩未の手作りによるものだという。

 開演前の本人によるアナウンスでは、「今日は新たな武藤彩未を見せます」と宣言された。今回バックを担当したのは、キーボードのnishi-ken、ギターの山本陽介、ドラムのマシータ、ベースの野田耕平。渋谷公会堂もバンド編成だったが、同じ渋谷CLUB QUATTROで2014年8月1日に開催されたワンマンライブ「SUMMER TRIAL LIVE『20262701』」のバックがnishi-kenとドラムの楠瀬タクヤのみだったことを考えると、1年足らずで倍の人数のバンド編成で渋谷CLUB QUATTROへ帰ってきたことになる。

 実際、1曲目を飾った「A.Y.M.」は、これまでになくサウンドがヘビーだった。しかし、武藤彩未のボーカルは、それに充分に拮抗しており、むしろ余裕さえ感じさせる。

 続く「Doki Doki」以降の楽曲では、バンドマンに囲まれて激しくも華やかに踊る武藤彩未の姿に魅了されることになった。アイドルがバンドを従えて歌うことは、そう多くはないものの、あることだ。しかし、ここまで男臭いバンドとハードなサウンドの中で、「アイドル」として歌い踊る武藤彩未の姿は新鮮で、どこか幻想的にすら感じられた。

 MCでは、この日のライブがロックをテーマにしていることを明言。そしていよいよ中盤から始まったのが、武藤彩未自身の選曲によるカバー曲コーナーだった。

 Whiteberryの「夏祭り」は2000年の楽曲だが、原曲をJITTERIN’JINNがリリースしたのは1990年。この日のリズム・セクションの音の太さには驚かされた。

 相川七瀬の「夢見る少女じゃいられない」は1995年の楽曲。一瞬武藤彩未の声の細さも感じたが、声の伸びは良く、そこにはしっかりと細かいニュアンスが乗せられていた。

 中島美嘉が「NANA starring MIKA NAKASHIMA」名義でリリースした「GLAMOROUS SKY」は2005年の楽曲。カバーなので振りがない。また、ファンを煽ることもなく、武藤彩未はスタンドマイクを抱きかかえるかのように歌った。この武藤彩未の姿が感動的だったのは、ふだんはアイドルである自らの「型」を完全に外していたからだ。このステージングを自分でプロデュースしたことは紛れもなく「成長」だろう。

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