Superflyが変化の中で見出した、表現の原点とは?「生きてる喜びを、高らかに大きな声で歌いたい」

150519_s_1.jpg

 

 Superflyの新しい始まりを告げるニューアルバム『WHITE』が完成した。前作『Force』('12年)から約3年ぶりとなる本作にはBONNIE PINK、中田裕二、Chris Cester(ex.JET)など国内外のクリエイター陣が参加し、これまでの制作スタイルとは大きく変化した作品となっている。

 今回Real Soundでは越智志帆にインタビューを実施。前作『Force』完成直後に感じたという達成感と虚無感、「受け身になって、いろんな人の影響を受けたかった」という動機からスタートした本作『WHITE』の制作、そして、このアルバムを作り上げたことで生まれた新たな確信について語ってもらった。

「“終わり”という文字が自分のなかに出てた」

ーーSuperflyの新しいスタートを告げるアルバムですね。「WHITE」というタイトルからも「まっさらの状態から始めたい」という意思を感じます。

Superfly:リスタートというか、“新たな価値観みたいなものに出会えますように”みたいな気持ちですよね。いろんな人たちの感性、才能に触れることで、自分を染めてもらえるようなアルバムにしたいなと思っていたので。

ーーいままでとは違う刺激を求めていた?

Superfly:そうですね。前作の『Force』を作り終えたときに、珍しく“あ、完成したな”って思えたんですよ。それまでは、制作の終わりごろになると“次はこうしよう”とか、良い意味で悔しさが残っていたんです。でも、『Force』のときは、もちろん完璧ではないにしろ、今できるのはここが限界だなという気持ちが湧いてきて。“終わり”という文字が自分のなかに出てたんですよね。

ーーデビューから積み重ねてきたことが『Force』というアルバムによって、ひとつの完結を見たんでしょうね。

Superfly:同時に“空っぽになった”という感覚もあったんですよ。その後はインプットしなきゃという焦りのなかで過ごしていたし、いざ制作に入ることになっても、まだ空っぽの状態が続いてしまっていて。このピンチをどう乗り切ろうかと考えたときに“完全に受け身の状態で音楽を作っていくのもアリかな”って思ったんですよね。

ーー何もない状態を逆手に取るというか。

Superfly:そうです。これまではずっと作曲家の多保くんと(アレンジャー/プロデューサーの)蔦谷好位置さんていう少人数で密に制作を行ってきたんですけど「Force」を作り終えた後の空っぽの状態で次は何を作ろう?ってなった時に今までと同じつくり方じゃ新しいものが出来ない気がして。それがいちばん大きなきっかけでしたね。

ーー結成以来のメインソングライターだった多保さんがアルバムに参加しないとなれば、自ずと制作スタイルは変わりますよね。

Superfly:やり方を変えなくちゃなって思ったんですよね。私自身が絞り出すように作るやり方は量産するには限界だと思ったし、多保君とも話たんですが、10年近く同じ体制でやってるとそれぞれの役割もしっかりできてしまって、それがいい方向に出るときももちろんあったんですが、新鮮さを求めた時にお互いのバランスを取ろうとしたらなかなか難しくって。本当にひとりになって、“いままで出来なかったことを思い切りやろう”というところへ切り替わったというか。今までとは違う人たちと作って新しい刺激を受けたくなりました。

ーーその時点ではもう不安はなかった?

Superfly:多少はあったと思うんですけど、いろんな人たちとやってみようって決めたら、アルバムのイメージがどんどん浮かんできたんです。タイトルは「WHITE」で、色鮮やかなアルバムにしようとか。ある意味、とっ散らかったアルバムでもいいとか。それを具現化するのは大変でしたけど、“きっと良いアルバムになる”という確信もありました。あと、私がイメージしているものだったり、変わっていきたいという気持ちを周囲のスタッフに伝えて、足並みを揃えるのもすごく大変でしたね。“え、そこまで変わっちゃうの?”みたいなこともあっただろうし。

ーーリスナーのことは気になりませんでした? Superflyにはこれまで築き上げてきた強烈なアーティスト・イメージがあって、そこに惹かれているファンも多いと思うんですが。

Superfly:確かにイメージはあると思うし、それを裏切りたくないという気持ちもありました。実際、アルバムの制作に入ったときは“今までのSuperflyの面影を残したほうがいいのかな”と思って、そういう曲に何度もチャレンジしてみたんですよ。でも、ダメだったんですよね。いままでのSuperflyの曲は、私と多保くん、蔦谷さんの3人だから出来たものであって、そのバランスがなければ、単に模倣にしかならないんだなって。たぶん、多保くんが他のところでSuperflyっぽいことをやろうとしても無理だと思うんですよね。そのことに気づいてからは、違うことをやろうって開きなれたというか。

ーーただ、志帆さん自身のルーツミュージックは変わらないわけじゃないですか。

Superfly:だから“ぜんぜん聴いたことがない音楽でもいいな”って思ってたんです。自分がわからないことをやりたかった、というか。私はオールドミュージックが好きだけど、ぜんぜん違うルーツを持っている人の個性とぶつかり合うことで、おもしろい化学反応が起こるんじゃないかなって。曲をお願いするときにも、何人かの方には“Superflyは意識しないでください”って伝えたんですよ。

ーーそうじゃないと意味がないと?

Superfly:そうそう。ホントにそう思いました。わからないことをやるのって、こんなに楽しいんだ!って思いましたからね、制作中。いままではわかないことが怖かったんだけど。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる