女子高生ラッパー・DAOKOが語る、音楽表現に向かう理由「心の穴っていうのは多分一生埋まらない」

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写真=磯部昭子

 現在18歳の〈女子高生ラッパー〉DAOKOが、2015日3月25日リリースのアルバム『DAOKO』でメジャーデビューを果たした。これまでm-floや中島哲也監督など数々のクリエイターから抜擢され、話題を集めてきた彼女。その先鋭的なセンスと存在感が注目を集めたが、片寄明人がサウンドプロデュースを手掛けたアルバムをじっくりと聴くと、むしろ彼女の魅力の源泉は本人の繊細な感性にあることが伝わってくる。RealSound初のインタビューで、「心にずっと穴が開いている気がする」と語った彼女の“生きづらさ”を探る。

「確固たる意志があってラップを始めたわけではない」

――そもそも、最初にラップに出会ったのって15歳のくらいのことですよね。

DAOKO:中3のときでした。

――その時にはメジャー・デビューなんて想像もついてなかった?

DAOKO:そうですね。15歳のときにLOW HIGH WHO?っていうレーベルに入って、自分なりにやっていたら、いろんなメジャーの方から声をかけていただく機会があって。それでメジャー・デビューというものを初めて想像できた感じです。でも、行けるところまで行ってみたいっていうことはインディーの頃から思ってました。

――ラップを始めた理由は?

DAOKO:実は、ラップをずっと聴いてて、絶対にラッパーになってやるという確固たる意志があってラップを始めたわけではないんです。本当に偶然ですね。ニコニコ動画のランキングを見ていて、たまたまラップに行きついた感じです。

――ニコ動は日常的に見ていた?

DAOKO:中学校時代は、学校から帰ってきたら動画サイトを見るのが日課みたいになってました。ニコニコ動画は音楽だけじゃなく、いろんなジャンルがあるじゃないですか。それを全体的に見ていたんですけれど、その時は女の人でラップをやっている人ってあんまりいなかった。いたことはいたんですけど、あんまりピンとこなかったので、自分でやってみようかなという気になって。

――半ば遊び半分だった。

DAOKO:そうですね。「やってみよう」みたいな。でも、そこから繋がりができて。その時に投稿してた知り合いと一緒に曲を作ろうということになって、それがきっかけになってレーベルに所属することになった。人生、何があるかわからないって感じです(笑)。

――なぜ自分はラップを選んだんだと思います?

DAOKO:表現方法としてはどれでもよかったんだと思うんです。私は絵も描くし、ずっと絵の道に進むと思ってたので。その時に女性のラッパーがいなかったというのは大きいと思います。いろんな人がやっていて賑わっていたら、逆に見てるだけだったかもしれない。どちらにしても、表現するっていうことが好きだから、何かをやっていたとは思います。

――まず表現欲求があって、ラップというやり方をしたら周りからそれを認められたのがこの3年間だったという感じなんですね。

DAOKO:そうですね。もともと、褒められたいという気持ちが強くて。小さい頃から絵を描くのが好きなのも、お母さんとお父さんに褒められるとうれしいみたいな、単純な気持ちだったりするんですよね。今もそうなんですけど、誰かに褒めてもらったりとか、誰かに「良いですね」って言われることでやっと自分のやっていることの実感が湧く感じがします。

――そうなんですね。じゃあ、早めに言っておこうと思うんですけど、アルバム、すごく良いです。

DAOKO:あ、ありがとうございます(笑)。

――中学生の頃、音楽はどういうものを好んで聴いてきたんでしょう?

DAOKO:もともとそんなに音楽に詳しかったわけじゃないし、人並みに世の中で売れてた曲は耳にしてました。でも、やっぱりオタクだったので、当時はボカロとかアニソンとかが中心でした。

――ちょうどDAOKOさんが中学生だった2009年から2010年くらいは、ボーカロイドのシーンが大きな盛り上がりを見せた頃ですよね。

DAOKO:そうですね。その時はボカロでもヒット曲がどんどん生まれて。supercellの「メルト」とか、米津玄師さんが、まだ〈ハチ〉として曲を投稿していた頃、ああいう曲を聴いて「ヤバい」と思ったりしてました。今回のアルバムできくおさんに今回トラックを提供していただいたんですが、きくおさんはその頃から聴いてファンだったんです。

――J-POPは聴いてました?

DAOKO:J-POP全般はあんまり聴いていないです。でも、椎名林檎さんはすごく大好きです。子供の頃にお父さんの影響で知って、今でも繰り返し聴いていますし、世界観もビジュアルも、音楽に対する姿勢も、すべてにおいて尊敬しています。

――今回のアルバムではサウンドプロデュースを片寄明人さんが手掛けています。一緒にやってみて、どういう手応えがありましたか。

DAOKO:実際に会ってみるとすごくフィーリングが合ったんです。まず人間としてすごく好きな方で。音楽もすごく自分の好みに近くて、やりやすかったです。相性が良くなかったらこんな良いアルバムになってなかったと思うし、片寄さんで本当に良かったなって思ってます。

――どういうところで相性が良かったと感じました?

DAOKO:あまり年齢差を感じないんです。しゃべっていても、どこか近いものを感じる。共通している部分はたくさんあると思います。フィーリングと言っちゃえば簡単なんですけど、要はそういうことなのかなとか思います。

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