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FORWARD・ISHIYA『デヴィッド・ボウイ・イズ』映画評

デヴィッド・ボウイはなぜ今も魅力的なのか 現役パンクスがドキュメンタリー映画を紐解く

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『デヴィッド・ボウイ・イズ』(2月6日まで。再上映・DVD化は未定)

 筆者のようなパンクスにとってのデヴィッド・ボウイといえば、なんといってもイギー・ポップとの絡みが思い浮かぶ。THE STOOGESの後、デヴィッド・ボウイのプロデュースでソロとして復活して発売した2枚目のアルバム『ラスト・フォー・ライフ』は名盤中の名盤。イギーのソロ曲「チャイナ・ガール」は、デヴィッド・ボウイもやっており、イギーと聞き比べたりするのはパンクスにとってよくある話だ。

 そんなデヴィッド・ボウイのドキュメンタリー映画「デヴィッド・ボウイ・イズ」。この映画はイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館で開催されたデヴィッド・ボウイの回顧展「デヴィッド・ボウイ・イズ」でのクロージング・ナイトで撮影されたものだ。クロージング・ナイトとは、回顧展の最終日のことで、その日は彼にゆかりのある人間が登壇して、観客とともにデヴィッド・ボウイを回顧するトークショーが行われた。その回顧展は20万人を動員し、ヴィクトリア&アルバート博物館で開催された展示会史上、最もチケットが入手困難な展覧会だったようだ。

 この映画はドキュメンタリー映画といっても、従来のような、アーティストの関係者や友人などが本人を回顧するものではなく、まるで博物館にいるような感覚で進められていく一風変わった作品だ。司会進行をこの展覧会のキュレーターであるヴィクトリア・ブロークスとジェフリー・マーシュが務め、展覧会最終日に実際に行われたトークショーや、展覧会の観客のコメントを交え、デヴィッド・ボウイの人物像を描き出していく。

 展覧会を観に行ったことがある人ならわかるように、そこに展示される作品は観た者の感性により捉え方は千差万別だ。観た人間の数だけ想いがあり、その人にしかわからない感想がある。そういった展覧会を観に来ているような感覚で進められるこの映画は、デヴィッド・ボウイの歴代の衣装や、手書きの歌詞ノートなどが並べられた館内を、実際に自分も歩いているような映像で、観るものを不思議な感覚でスクリーンに惹き付けて行く。

 展覧会を観てまわりながら、合間に観客の感想やトークショーでデヴィッド・ボウイと関わりのある著名人が語る逸話などがふんだんに盛り込まれ、どんどん内容に引き込まれて行く。

 トークショーに登場する日本のファッションデザイナー山本寛斎は、アルバム『ジギー・スターダスト』の頃に関わっており、ボウイとの逸話もさることながら、山本寛斎自身の素晴らしさも垣間見ることができる。もちろんデヴィッド・ボウイのライブ映像や、子供の頃や若い頃の話などもあり、ファンならずともその人物像を自由に思い描くことができるようになっている。その時代の人間に大きな衝撃を与え、人々やロックの常識を覆したデヴィッド・ボウイは、パンクムーブメントよりもだいぶ以前に、パンクというものの基本精神を実践していた、本当の自由を伝えた先駆者ではないだろうか。

     
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