>  >  > AKB48、4枚目の“オリジナルアルバム”に込められた意味

香月孝史が『ここがロドスだ、ここで跳べ!』を分析

AKB48、4枚目のオリジナルアルバムに見る新鋭・中堅・ベテランの“現在地”

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香月孝史
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 昨年12月に9周年を迎え結成10年目に入ったAKB48だが、その歴史に比べるとリリースしてきた“オリジナルアルバム”の枚数は、意外なほどに少ない。シングルリリースごとに制作される曲数が多く、また劇場公演のセットリストがアルバムに近い機能を担い音源も発売されているため、楽曲の供給そのものは潤沢に行なわれている。また、初のオリジナルアルバムとなった2011年の『ここにいたこと』発表以前は、ベストアルバムとして位置づけられた作品に過去のシングル曲を収録していた。そのため、今年1月21日発売の『ここがロドスだ、ここで跳べ!』は、AKB48名義のオリジナルアルバムとしてはまだ4枚目である。しかし、『ここにいたこと』リリース以降、AKB48が発表してきたオリジナルアルバムは、そのいずれもがグループにとって強い意味を持ってきた。

 東日本大震災を受けて発売日が一旦延期になった2011年の『ここにいたこと』については、AKB48というグループ内部にとってというよりも、社会との関わりにおいて大きな意味を持っていた。東日本大震災被災地への支援活動「『誰かのために』プロジェクト」の一環として売上の一部が義援金に充てられ、また現在まで続くAKB48の被災地訪問がリリースに前後して始まるなど、グループの継続的なチャリティー活動と結びつく作品になっていた。2012年8月15日リリースの二枚目のオリジナルアルバム『1830m』がグループにとって大きいのは、AKB48の唯一無二の象徴として存在した前田敦子の卒業、および大目標であった東京ドーム公演を間近に控えての節目を大きく意識した作品だったためだ。そして三枚目のオリジナルアルバム『次の足跡』(2014年1月22日発売)は、前田と並んでAKB48の顔としてグループを支えた大島優子の卒業を間近に見据えてのリリースだった。そのように考える時、『ここがロドスだ、ここで跳べ!』はAKB48グループの精神的支柱、高橋みなみの今年末を目処にした卒業を見据えた作品としてとらえることもできるだろう。

 ただし、『ここがロドスだ、ここで跳べ!』は、そうした功労者にとっての節目であるよりも、次代のAKB48グループを担うメンバーの充実度がより強くあらわれた作品と言った方がいい。ひとつには、次の時代の幕開けを象徴する渡辺麻友と宮脇咲良のWセンター曲「希望的リフレイン」が誕生したことが大きい。「希望的リフレイン」が一曲目を飾ることで、アルバム全体の指す方向はここまでのキャリアの振り返りよりも未来に重点が置かれることになる。若手メンバーを前面に打ち出す楽曲は他にもてんとうむChu!「選んでレインボー」やTeam8「47の素敵な街へ」などが収録されているが、西野未姫、大和田南那や北川綾巴、田島芽瑠、朝長美桜らが参加した「Birth」(Type-A盤のみに収録)もまた次世代の存在感を見せる作品になっている。アニソンなどを中心に実績を残してきた三浦誠司作曲・編曲のアップテンポな曲に乗せたシニカルな詞が、かえって若手世代の未知数な潜在能力を暗示するようで面白い。島崎遥香と横山由依による「友達でいられるなら」(Type-B盤のみに収録)も含め、この先のAKB48、あるいは48グループの顔となるべきメンバーの今が示されている。

     
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