しゃちほこ、BABYMETAL、でんぱ組.inc…2015年「武道館」から「ドーム」へ飛躍するグループは?

 BABYMETALがアイドル界のエリートコースから生まれたユニットだとすれば、逆に辺境も辺境、何もないところからスタートして武道館公演を大成功させ、次のステップに進もうとしているのが、でんぱ組.incです。路上ライブだったり、観客数一桁から始まったと言っても、Perfumeはアミューズ、ももクロはスターダストという超一流の事務所に所属していますし、AKB48には秋元康氏がついています。でんぱ組のプロデューサーであるもふくちゃんは、もちろんアキバではカリスマ的な存在ですが、前述の3組と比べれば大きな差はあります。秋葉原のライブ&バー・ディアステージの出身、アイドルに憧れるオタク少女たちが手探りで始めて、大きな夢を掴んだのが、でんぱ組.incです。

 ソールドアウトとなった武道館公演で、メンバーの一人・夢眠ねむがファンに呼びかけた「みなさん一人一人が私たちをここまで連れてきたという自覚はありますか?」という言葉は象徴的です。アイドルの活動の主体がメディアからライブに移ったことで、ファンとアイドルがダイレクトに繋がるようになったのが、いまのライブ系アイドル隆盛の大きなポイントですが、彼女の発言はそういった時代を象徴する名言と言っていいでしょう。

 でんぱ組.incの特徴はメンバーがごく自然にオタクなので、アキバ系カルチャーを始めとする日本のポップカルチャーとの親和性が非常に高いこと。でんぱ組はすでにアジア圏を中心とする海外での活動をかなり活発に行なっていますが、これは彼女たちにとって大きな武器となるところです。

 2014年のアイドル界では、次代の「アイドルの枠を超えていくアイドル」が何組かその入口に立ちました。彼女たちが、実際にどのようにその枠を超えていくのか、またさらにそこに続くアイドルがどれだけ出てくるのか、そこが2015年以降の注目のポイントとなるでしょう。

■岡田康宏
編集者、ライター、カメラマン、評論家、コラムニスト、WEBプロデューサ。得意分野はサッカーとアイドル。著書・共著に『アイドルのいる暮らし』『サッカー馬鹿につける薬』『グループアイドル進化論』など。Twitter:@supportista

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