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FORWARD・ISHIYAのアメリカツアールポ 第2回

東海岸には禁欲的な“ストレートエッジ”のパンクスも 現役パンクロッカーが米国各地のシーンを紹介

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ロサンゼルスのライブの様子。一緒にツアーを廻ったLONG KNIFEのライブ。

 ハードコア・パンクバンド、FORWARDのボーカリストを務めるISHIYA氏が、自身の海外ツアー体験をもとに、その音楽シーンの違いや海外ならではの風習をレポートする本連載。第1回【一般家庭のリビングでライブも……現役パンクロッカーが米国ツアー最新事情を報告】では、アメリカと日本のパンクシーンの基本的な違いを紹介した。第2回は、アメリカのパンクシーンの音楽性などについて紹介する。(編集部)

 パンクと言えばSex Pistols、THE CLASH、The Damnedに代表されるようなパンクロックから、DISCHARGE、G.B.H.、THE EXPLOITED、Chaos U.K.、DISORDERに代表されるようなハードコア・パンクまで多種多様だが、上記のバンドはあくまでもイギリスのムーブメントである。

 アメリカのパンクと言うと、イギー・ポップのThe Stooges、パティ・スミス、RAMONES、DEAD BOYSやジョニー・サンダースのHeart Breakers、Heart Breakersにも在籍していたリチャード・ヘルとトム・ヴァーラインのTelevisionなどの初期パンク/ニューウェイブのほかに、Dead Kennedys、Black Flag、The Germs、MDC、Bad Brains、MISFITS、Agnostic Front、Poison Idea、Gang Greenなどのハードコアや、MINOR THREATなどのストレートエッジが代表的なところだろう。

 近年のメロコアや、The Casualtiesなどのポゴパンク系などもあるが、筆者が体験しているアメリカパンクシーンは、いわゆるD.I.Y(DO IT YOUR SELF=自分でやるという意味)のシーンなので、そこでの音楽性や人気のバンドなどを紹介していこうと思う。

アメリカパンクスの基本的な音楽嗜好

 あくまでも筆者が体験し、感じた事ではあるが、基本的にアメリカのパンクシーンの人間たちは、ハードロックやヘヴィメタルが身体に染み付いている様に思う。Black SabbathやJudas Priest、AC/DCなどが車の中で流れることも当たり前で、中でもMORTORHEADの人気は凄まじい。ほかにも基本的にロックが浸透しているので、日本のように街中で歌謡曲が溢れている事はない。

 訪れる人間のルックスなどもあるのかもしれないが、今まで行ったアメリカの店ではハードロックやヘヴィメタルからハードコア・パンクまで普通にBGMとして流れていた。たまにカラオケの場面などに遭遇しても、ヘヴィメタルやハードロックを歌う人間の多さに驚く。そういった場所の客にもBlack Flagのタトゥーを入れている人間が多くいたりと、根本的にハードな音楽が浸透しているように感じた。

 そのためか、特に90年代以降はアメリカのパンクバンドはメタリックなフレーズを多様することが多いように思う。イギリスのハードコア・パンクバンドにもそういったバンドはいるが、70年代パンクロックを基本とするバンドも多い。一方で、アメリカにはいわゆる70年代初期パンクロックを基調とするようなハードコアバンドがあまりいないように感じた。その辺りがアメリカパンクの特徴ではないだろうか。

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背中に日本のD-BEATバンドDISCLOSEのロゴを書いた鋲ジャン。日本のパンクバンドの人気の高さが伺える。

 アメリカでの日本のハードコア・パンクの人気の高さは凄いものがある。筆者が何度もアメリカツアーを行えるのもさることながら、ジャパニーズハードコアに関しては、海賊版Tシャツやレコード、バッヂなども沢山出回っており、どのパンクスに聞いても日本のハードコア・パンクは必ず知っている。中でもG.I.S.M.、THE EXECUTE、DISCLOSE、FRAMTID、BASTARD、DEATH SIDEは人気が高く、Tシャツを着ている人間や、革ジャンやGジャンの背中にそういったバンドの絵やロゴを書いているのをよく見かける。ほかにもアメリカツアーを何度もやっていたD.S.Bや、現在でも現役で80年代から活動するジャパニーズハードコアパンクバンドのGAUZE、解散してしまったがLip CreamやPAINTBOXもよく話題にあがった。

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このように海賊版の布製ワッペンやバッヂが普通に売られている。

 シーンは少し異なるが、Melt-Bananaも人気が高く、筆者が友人だというと話に花が咲く事が何度もあった。アメリカのパンクス達にはマニアックな人間も多く、日本のハードコアならほぼ知っているという人間も多い。そんな中で上記にあげたバンド達はアメリカパンクスの間で特に人気があるバンドだ。

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一緒にツアーを廻ったLONG KNIFEギタリスト。スコットのタトゥー。日本のハードコア・パンクバンドのタトゥーを入れている。

 一方、アメリカのバンドの中ではどんなバンドが人気があるかというと、現在活動しているバンドでは、ポートランドのPoison Ideaの人気は凄まじく、同じくポートランドのTRAGEDYも突出して絶大な支持を得ている。ほかにもボーカルが南米出身でスペイン語で歌うLos Crudosも人気が高く、メキシカンなどのスペイン語の人間が多いアメリカで親しまれているようだ。今回一緒にやる予定だったが、車の故障で遅れたため一緒に出来なかったNEGATIVE APPROACHも人気だ。最近復活してライブをやり始め、一緒に出来るのを楽しみにしていたが、非常に残念な思いでいっぱいだ。

 BARやライブハウスではMISFITSやDANZIGがよく流れていて、パンクがかなりポピュラーに浸透しているのを感じる。普通のレストランや、昼間から開いているバーでも流れているので、おそらくかなり一般的にも認知されているのではないだろうか。

 アメリカやほかの海外でもそうだが、いわゆるD-BEATーーDISCHARGEを模倣したサウンドの人気が高く、どこの地域に行ってもD-BEATのバンドは存在する。そして彼らは、ほぼ全員と言って良いほど日本のDISCLOSEが好きである。それを考えてみるとDISCLOSEがこの世界に残した功績は偉大なものだと感じざるを得ない。中心人物のKAWAKAMIが他界した事は、世界にとって大きな悲劇であった事は間違いないだろう。

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