Drop's・中野ミホが語る、青春との決別とこれから「ルーツを踏まえて、今の時代の音を鳴らしたい」

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 札幌発・女子5人組ロックンロールバンドのDrop'sが、12月3日に2nd EP『さらば青春』をリリースした。前作の2ndアルバム『HELLO』からわずか5ヶ月でリリースとなった今作は、60年~70年代の歌謡ロックを彷彿とさせるロカバラード調の「さらば青春」をはじめ、4曲を収録。前回に続き、今回も中野ミホ(Vo&Gu)にインタビューを行い、バンドの今昔が込められた表題曲について訊くとともに、ブルースロック色の強いカップリング曲で見えるメンバーの音へのこだわり、さらには2014年にリリースした『コール・ミー』『HELLO』やライブから見出した今のスタンスを訊いた。

「5人で新しい世界に行く、という気持ちを込めた」

――2nd EPの表題曲の「さらば青春」は、「過ぎていく時間を振り返り、新しい時代が始まる」という普遍的なテーマを歌ったバラード曲ですね。これはいつできた曲ですか?

中野ミホ(以下:中野):できたのは3年くらい前、高校3年生の冬です。私が弾き語りのライブをやっていて、その時に作った曲ですね。ちょうどそのときくらいはバンドで東京でライブをしたり、札幌以外の場所に行ったり、いろんな人と話したりする機会が増えてきた時期で。今まで学校とかに縛られてた部分がなくなってきて、「変わったな」と感じることが多くなり始めてたときの感情が曲になっています。

――自由を得たというか、開けていくような感覚があったと?

中野:高校の時とかは、縛られてる感じというか、そこから抜け出したいという苛立ちとかで曲を書いていたので、良い意味でも悪い意味でも解放されることを感じたんじゃないかと思います。

――歌詞で、「透明な時間」という言葉が使われています。当時は縛られていると感じていたけど、その時間を懐かしむような感覚もこの曲に込められているのでは?

中野:書いた当時はまだ振り返るというところには行ってなかったと思います。何となく自分が変わってきてるな、と思った感じが強くて。今聴くと、ちょっと懐かしむような気持ちもありますね。

――曲ができてから3年という時間を空けて世に出ることになる曲ですが、今改めて楽曲と向き合って、どうでしたか?

中野:歌詞を改めて見返すと、「今だったらこういう風に表現しないだろうな」という感じはして、良い意味でも悪い意味でも幼いという感じはします。でも今レコーディングして出すとなったらやっぱり今の気持ちが入ってないと、と思ったので、Cメロの「何も言わず」からの2行はレコーディングのときに付け足しました。全体的には昔の写真を見ているような感じで、今のリアルタイムの気持ちとはまた違う。だけど、2行を足すことによって、今の5人をちゃんと出している、という風になっていると思います。

――新たに加わった「光と影」という言葉に、今の感覚が表われている?

中野:この2行では、振り返るだけじゃなくて前に行きたい、という気持ちを表現しました。「光と影」というフレーズには、これまでのこともこれからのことも含めて、5人で新しい世界に行く、という気持ちを込めています。5人の大事な曲なので、それが誰かの大事な曲になっていってほしいなと思います。1回通った場所でもあるし、この曲の持っている普遍的な部分は信じたいと思うので、今だけじゃなくてこれから先も残っていく歌になったらいいなと思います。

――アレンジに関してはいかがでしょうか? 60年~70年代の歌謡ロックの匂いもするロカバラードですよね。

中野:この3年の間にけっこういろいろと、構成やアレンジやテンポを変えてみたりしたんですけど、最終的には元のままの雰囲気がそのまま活かされていると思います。ずっとある曲だし、私達もずっと出したくて、だけどタイミングがなかったりして。それでもアレンジし直したりして大事にしてきた曲ですね。

――今のバンドシーンでは、テンポの速い曲が多いなか、「さらば青春」はテンポを抑えたどっしりとしたアレンジが特徴ですね。

中野:このテンポやリズムの感じは、個人的にすごく気持ちよくて、みんなもそう思ってると思います。特にシーンとかは考えず、この曲にふさわしいアレンジはこれだと思ったし、やっぱりシングルとしてちゃんと出したかったんです。テープに録るというアナログのレコーディングもできてすごく満足しています。デジタルとは違う質感が出てすごくこの曲に合っている仕上がりになったと思います。それから「さらば青春」は仮歌をそのまま音源にしてるんですよ。

――仮で歌ったものがすごく良かったと?

中野:そうですね。長く付き合ってきている曲なので、スッと歌えたものを音源にしました。

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