Drop's・中野ミホが語る、青春との決別とこれから「ルーツを踏まえて、今の時代の音を鳴らしたい」

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奥山レイカ(Dr)

「自分たちなりにルーツの音楽を踏まえて今の時代の音を鳴らしたい」

――世の中にはデジタルな音がたくさんある中で、前回のインタビューで中野さんはトム・ウェイツなどをフェイバリットに挙げていました。年代やジャンルを問わず、好きな雰囲気のアルバムは何ですか?

中野:ストーンズの『Sticky Fingers』とか、トム・ウェイツの1st『Closing Time』とか、キャロル・キングの『Tapestry』とかはよく聴きますね。70年代のアメリカの音、というのは好みとしてあるかもしれません。キャロル・キングの『Tapestry』は演奏が醸し出す不思議な生っぽさが魅力的。それは録音技術もあるんだと思いますけど、時代の空気が曲の魅力を引き出しているというのは絶対あると思います。

――日本の音楽だとどうでしょう? 例えばキャロル・キングの『Tapestry』は70年代以降の日本の音楽にも大きな影響を与えました。

中野:やっぱりはっぴぃえんどはすごいなと思います。あと、友部正人さんもすごく好きです。友部さんは1年前に人から教えてもらって、『にんじん』(73年発表)というアルバムはすごく聴いています。友部さんの魅力はやっぱり言葉かな。高田渡さんの歌詞も好きだし、はっぴぃえんども松本隆さんの言葉が好きだし、歌詞の素敵な曲が好きですね。

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小田満美子(Ba)

――自分たちの曲を作るときに、好きな音楽が反映したりする部分もありますか。それともリスナーとしての好みとクリエイターとしての部分は切り離していますか。

中野:音とかはきっと全員のものが大きいと思うんですけど、歌詞は、そのとき自分が感じていることはもちろんとして、昔の言葉遣いがすごく好きなので、それが出ていると思います。

――中野さんのような若い世代のミュージシャンが昔の音楽のエッセンスを取り入れることで、そうした音楽にリスナーの目が向く可能性もありそうです。

中野:本当に、好きだからやってるだけ、という感じなので、違うことをやりたくなったら違うことをやると思うんですけど、自分たちなりにルーツの音楽を踏まえて今の時代の音を鳴らしたいと思います。あまり形にはこだわらないですけど、好きなものの感じは出ると思いますね。

――好きなものを音にしていく作業で、結成当初と比べて変わったところはありますか?

中野:メロディから作ることも多くなってきたので、曲の幅は広がっていると思います。今までだとコードから作ってバンドで合わせて、最後にメロディ、というやり方が多かったんですけど、最近はメロディから作ってバンドに持っていってアレンジして構成を増やしていく、というやり方ですね。メンバーそれぞれが聴く音楽も増えて、アレンジのバリエーションも広がったと思います。

――メロディから作るというのは、ポップな曲を作っていくということとも関係していますか?

中野:そうですね。『コール・ミー』で初めてメロディから作って、そのやり方は最近けっこうしっくりきています。

――『HELLO』からまだそれほど時間が経っていませんが、次の作品へのイメージも湧いているのでしょうか?

中野:徐々に曲は増えていっていますね。ちょっとアップテンポな曲を作ったり、荒谷の曲もやったりしています。最近は、いろんな曲調のものをやっていいんだな、という気持ちになっているので、いろんな曲を作れるのが楽しいです。

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