Drop's・中野ミホが語る、青春との決別とこれから「ルーツを踏まえて、今の時代の音を鳴らしたい」

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中野ミホ(Vo&Gt)

「ポップな曲も自分たちらしくなる」

――「このテンポ感が自分に合う」ということでしたが、ご自身の中でこういうタイプで好きな名曲はありますか?

中野:中学や高校の時から好きなのはThe Birthdayの『LOVERS』っていう曲で、大好きです。好きなバンドのアルバムとかでも、自然とスローな曲を一番好きになりますね。

――今作には、浅川マキさんの「ちっちゃな時から」がカバーで収録されていますね。かなり渋い仕上がりですが、この曲を選んだ理由は?

中野:カバーをする曲の候補はいろいろあったんですけど、私と鍵盤のバシ(石橋わか乃)が浅川マキさんを好きで聴いてて、Drop’sでやってみたらかっこいいんじゃないかと思ってこの曲を選びました。歌詞はぶっ飛んでいて、共感する、という感じではないので、自分なりにかっこつけて歌おうと思って歌って。

――確かに、かなりワイルドに歌ってますよね。サウンド的にも当時のブルースロックの雰囲気をうまく出していて。

中野:アレンジに関しては、ギターソロがポイントですね。鍵盤は本物のオルガンを2種類使っていて、それも気に入ってます。

――カップリングのブルージー曲「メトロ・ランデブー」はライブで盛り上がりそうな曲ですが、これはどんな風に?

中野:ギターの荒谷が持ってきて、歌はそんなに大きな部分を占めていなくて、ギターがカッコいい、という曲です。だからけっこう彼女にいろいろ任せました。

――ギタリストの荒谷さんは中野さんから見てどんな存在ですか?

中野:周りのバンドのギタリストを見てもああいう感じの人はいないかな、と思います。すごくカッコいい。だから、やっぱりソロはどの曲にも入れたいし、ギターリストとしてカッコよく目立ってほしいと思います。彼女は音作りもこだわってるし、私がポップな曲を作ってきても、それに荒谷なりの解釈で答えてくれて、それがすごくDrop’sらしさを出している部分だと思います。

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荒谷朋美(Gt)

――Drop’sは音の醸し出すムードが重要なバンドだと思いますが、その「Drop’sらしさ」という部分はメンバー内でどのように共有しているのでしょう?

中野:特に話し合いはしてないのですが、「カッコいいかどうか」みたいな部分で、感覚的な共有意識はあると思います。共通してみんな昔の音楽は好きだと思いますね。

――60~70年代のブルースロック的な空気がありながら、それを現代のバンドとして再構築している印象をDrop’sの音楽から感じます。中野さんは「コール・ミー」「さらば青春」のようなポップな曲も書く一方で「テキサスの雨」みたいなクールな曲も書いていますね。そのあたりはご自身の中で、いろいろな引き出しを開けるような感覚ですか?

中野:2ndアルバムの『HELLO』あたりからメロディを大事にして作っていて、それが自分でも楽しいし気持ちいいんですよね。ポップな曲も自分たちらしくなるという確信があったので、それは『HELLO』以降も絶対にやっていきたいなと思っていたし、でもやっぱり荒谷の曲みたいなものや、ちょっとダークなものなど、元々皆が得意としているサウンドもなくしたくないです。どっちも楽しいし幅はあってもいいかな、と思ってやっていますね。

――確かに今度の作品にはそれが全部入っていて、Drop’sが音楽を追求していくプロセスがよくわかりますね。

中野:今回初めてアナログ録音して、録り直しができなかったり、という面で今まで違った部分があったんですけど、それをやることによって、音は全然違うし、「おお!」ってなりました。

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