クレモンティーヌ、小野リサ、中塚武らが提示する、ディズニー音楽の新たな魅力とは?

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ジャズやラテンをベースに、様々な要素がクロスオーバーした独自のサウンドを展開する中塚武。

 『アナと雪の女王』の主題歌「レット・イット・ゴー」が今年、大きなブームを巻き起こしたように、ディズニー映画を彩る音楽にはポップミュージックとして世界中で広く愛される名曲が数多く、作品の古今を問わず、数多の名カバーが生みだされている。とくにジャズとは相性が良く、2013年10月にはジャズ界の巨匠による名演の数々を収録したCD6枚組のBOX『Disney Jazz Giants Collection』がリリースされるほど、その音源は多い。

 そんなディズニー音楽のジャズアレンジの歴史に新たな1ページを加えるのが、11月12日にリリースされた中塚武によるディズニーカバー作品『Disney piano jazz“HAPPINESS”Deluxe Edition』だ。同アルバムには、「美女と野獣」や「レット・イット・ゴー」、「星に願いを」といったディズニー珠玉の名曲21作品を収録、前作『Disney piano jazz“HAPPINESS”』に収録された18曲に、新たに3曲を加えて再リリースした形だ。

 中塚自身によるピアノを中心に、佐々木史郎(熱帯JAZZ楽団、BIG HORNS BEE)、中路英明(ex オルケスタ・デ・ラ・ルス、オバタラ・セグンド)など、日本を代表するジャズ界の重鎮から多数の若手ホープのジャズミュージシャンまで参加した同作。中塚のピアノ・ソロがメランコリックに響く「When She Loved Me(トイ・ストーリー2)」や、リズミカルかつスリリングなピアノの上で石川周之介のフルートが舞う「Heigh-Ho(白雪姫)」、めくるめく展開と鋭いホーンセクションに息をのむ高速スウィング「Main Street Electrical Parade(ディズニーランド(R))」、ひょうきんな原曲がブルーなモダンジャズへと驚きの変化を遂げた「Chim Chim Cher-ee(メリーポピンズ)」など、多彩なアレンジで生まれ変わった楽曲群は、ディズニーファンのみならず、耳の肥えた音楽ファンにとっても興味深いものだろう。

 特に、中塚自身が「世界の作曲家の中で3本の指に入るほど大好きな作曲家」と評するアラン・メンケン作曲の「Under the Sea(リトル・マーメイド)」は、聴き手の心を掴むメロディの魅力を最大限に活かしながら、コードワークを中塚独自の解釈で捉え直した、いわゆるリ・ハーモナイゼーションを施したピアノ演奏で、楽しげなイメージの同曲に潜むクールな一面を引き出している。ちなみに、アルバム単位でディズニーのジャズアルバムを公式リリースする日本人アーティストは、中塚が初めてだという。

 今作をリリースしたウォルト・ディズニー・レコードは、米ウォルト・ディズニー・カンパニーのレーベルで、日本ではエイベックス・エンタテインメントがライセンス契約を結んでおり、これまでにも日本ならではのアプローチでユニークな作品を多数生み出してきた。

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