関ジャニ∞、クドカン&銀杏BOYZ・峯田の提供曲で1位に “バカ過ぎて切ない”楽曲の持つ意義とは?

 宮藤官九郎がコメントの中で触れている「BABY BABY」も、決して「バカみたいに明るい曲」ではなく、どちらかと言えばロマンティックな恋愛ソング。そして、ドラマのキーワードである「青春」は、銀杏BOYZよりも、むしろその前身であったGOING STEADYのイメージに近いものだ。

 加えて言えば、宮藤官九郎はロックバンド・グループ魂としての活動も長い。「バカみたいに明るい」曲というのは、むしろこちらのほうが専売特許だ。グループ魂の多くの楽曲を手掛けるメンバーの富澤タクも、この手の曲調を得意にしている。

 ということは、宮藤官九郎は、あえて峯田に「こういうタイプの曲を書いてほしい」と思いオファーしたのではないだろうか、と考えられる。今年1月のアルバムリリースと共に、銀杏BOYZからは峯田以外のメンバーは全員脱退している。当時のインタビューでは新たにメンバーをオーディションで迎えライブをしたいと語っていたが、それもまだ実現していない。実質的に、グループの表立った活動は鳴りを潜めている。

 よくも悪くも、銀杏BOYZというのは、とても真摯に、一つのことを突き詰めていくようなバンドだ。それがかつてのエクストリームなパフォーマンスに繋がったし、アルバムのリリースに9年という長い期間がかかった理由にもなっている。宮藤官九郎はその「重さ」をよく知っているがゆえに、関ジャニ∞への曲提供という、より軽やかなアウトプットの場を彼に提供したのではないだろうか。一方、峯田もそのオファーにきちんと応えている。一聴するとシンプルな日本語ロックの曲調だが、「本当のことが知りたいの 本当のことなんか知りたくないの」というサビのメロディには、いかにも彼らしいセンチメンタルなテイストが表れている。

 そして、関ジャニ∞にとっても、この「言ったじゃないか」は大きな意味合いを持つ曲になりそうだ。メンバー全員が楽器演奏のスキルを持ち、バンドに真剣に取り組んでいるのが、このグループの大きな特徴。そして、様々なタイプの楽曲を歌いこなすものの、やはり熱くがむしゃらな曲、ユーモラスな曲が人気になる傾向にある。そういう意味でも、「ズッコケ男道」「無責任ヒーロー」や「キング オブ 男!」に並びグループの新たな代表曲になりそうな予感がする。

 様々な観点から、今回の「言ったじゃないか」は、関ジャニ∞、峯田和伸、どちらにとっても意義のある曲提供になったのではないだろうか。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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