ガールズロックの超新星・SHISHAMOの魅力とは? フレッシュな演奏とフック満載の歌詞に注目

SHISHAMO

 

 3ピースガールズ・ロックバンドのSHISHAMOが、10月1日にシングル『量産型彼氏』をリリースした。同バンドはメジャーデビューをしていないにも関わらず、若いロックリスナーからは多数の支持を集めており、その人気は10月7日、8日に恵比寿リキッドルームで2days公演を行うほどだ。

 同バンドがここまで人気を誇る理由とは何なのだろうか? 音楽ジャーナリストの柴那典氏は彼女たちについて「音楽はシンプルだがフレッシュな魅力がある」と語ったうえで、彼女たちの歌詞に注目してほしいと述べる。

「ボーカルの宮崎朝子はGO! GO! 7188やチャットモンチーの影響もさることながら、The ピーズに強い影響を受けており、インタビューではそのことを公言しています。なので、宮崎の書く詞は、The ピーズの大木温之が書いているような、J-POPの歌詞になりづらいモヤモヤしたものを切り取っているうえに、難しい言葉や文学的な表現を使わず、上手く平易な言葉で書いているようにみえます」

 また、ボーカルの宮崎が元は漫画家志望だったことが、バンドの制作において重要なキーポイントになっているという。

「この年齢層のロックバンドは、自分のことを歌っているような歌詞が多いため、SHISHAMOの歌詞も一見するとそう思われがちです。しかし、かつて漫画家を目指していた宮崎さんは、歌詞を書く際は登場人物を思い浮かべ、その主人公の内面を描くという、フィクション作品を作るような方法、つまり漫画を書くような方法で作詞をするそうです。それが特徴的なフックのある楽曲が生まれる理由の一つでしょう。また今回のシングルではジャケットも宮崎さんが描き下ろしのイラストを用い、トータルでのパッケージイメージにつなげています」

 また、バンドが急速に知られるきっかけになったシングル『君と夏フェス』に関しては、世界観がこれまで表現されていない文化圏のものだと続ける。

「これまでの『SHISHAMO』『卒業制作』の2作はデビュー前の曲も含まれていましたが、シングルでリリースされた『君と夏フェス』は、自分の曲をポップソングとして行き渡らせる意図が出てきている。この曲に描かれているのは“夏フェスで初めて手をつなぐ”カップルの甘酸っぱい恋愛風景。ここ数年生まれてきたものの、まだ言葉や曲になっていなかったシチュエーションだと思います。それをJ-POPの歌詞にするというのは、ある意味コロンブスの卵ですよね。実際に共感する女の子も多いと思います」

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