>  > パスピエが新作『幕の内ISM』を語る

セカンドアルバム『幕の内ISM』インタビュー(後編)

パスピエが語る、新作の壮大なるコンセプト「民族性にフィーチャーした作品を作りたかった」

関連タグ
パスピエ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
20140616-paspied.jpg

 

 6月18日にセカンドフルアルバム『幕の内ISM』をリリースするパスピエの中心人物であり、作曲を手掛けているキーボードの成田ハネダと、アートワークや歌詞を手がけるボーカルの大胡田なつきへのインタビュー後編。前編【パスピエはなぜ変化し続けるのか? 成田「既存のものにプラスアルファの違和感を乗せていきたい」】では、2人の視点から見た現代のライブシーンや、バンドを取り巻く環境、そして彼らの今後を見据えた戦略について語った。後編では、新作のコンセプトについてや、彼らにとってのJ-POP像、アートワークや歌詞などについて話を訊いた。

「浮世絵で描かれている人間って、感情が読めない部分がある」(大胡田)

――前作の『演出家出演』はライブシーンに合わせてきた印象を受けましたが、今回のコンセプトは?

成田:そうですね。『演出家出演』はまさにライブシーンに向けて作ったアルバムでした。その作品をレコーディングし終わって、「次どうしていこうかな…」と考えてたんですが、もう一度原点に立ち返るサウンドを作っていきたいなと思うところがあって。僕が去年1年を通して、音楽を聴いて、本を読んだ結果、民族性にフィーチャーした作品を作りたいと考えたんです。僕らで言う“民族性”って、日本人なので、アジアが持ってるオリエンタル感かなと。アジアっぽい感じは以前から楽曲として見せてきたんですけど、伝わるかどうかは別にして、もっとこう…サウンドイメージを踏まえてのオリエンタル感、パスピエが持つ自分たちの民族性が出せたらいいなというのがアイデアとしてあって。その一発目として配信シングルの『とおりゃんせ』をリリースしたんです。ワンマンライブを開催するタイミングで配信スタートした曲なんですけど、その時から和っぽいものを意識してやっていけたらということは思っていました。

――その中で「七色の少年」が一番ストレートなポップスとして聴こえてきたような印象を受けました。

成田:これは、いわゆるJ-POPって感じの曲ですよね。パスピエとしても、今までのタイミングだったら出せなかった曲だと思うんです。デビューして間もないころは「ビジュアル面を出さなかった」ことや、大胡田の独特の声質を考えて、王道路線ではなく「ギミックやフックを意識して曲に取り入れていこう」と決めていました。でも、去年1年を過ごして、『演出家出演』というアルバムをリリースしたり、ワンマンライブを無事終わらせて、「僕らとしても、もっと大きい視野を持って音楽を出していけたらな」と思うようになって。ちょうど2枚目のフルアルバムをリリースする時が「七色の少年」を出すタイミングとして最適かなと思ったんです。

 荒井由実さんの曲などがわかりやすいんですが、長年親しまれてるJ-POPには独特のメロディーラインがあって。いまだに親しまれる曲や人気の曲ってそういうフレーズやセンスを感じるんです。「七色の少年」は、それをパスピエで表現できたらと思って作った曲です。

――“民族性“というところで、大胡田さんによるアートワークも今回は和テイストになっています。4月にリリースしたシングル『MATATABISTEP / あの青と青と青』、今作『幕の内ISM』で、鮮やかな色を多用してますよね。これには何か意図があるのでしょうか?

大胡田:私自身、自分の中である程度満足したら変えちゃうような性格なんです。今回のタイトルもそうなんですけど、『わたし開花したわ』、『ONOMIMONO』、『演出家出演』と、回文にしていましたし、ジャケットも白地に水彩っぽい絵で女の子を書くというのを決めていて。でも、『演出家出演』で私のやりたかった回文は満足したんです(笑)。それで、アルバムの内容に合った『幕の内ISM』というタイトルに決まったので、「じゃあ絵とかも変えちゃおっかなー」と思ったんですよね。

 その頃にちょうど気になってたのは、浮世絵とか日本画における線の使い方なんです。髪の毛の線なども参考になりました。あと、私が描くアートワークの女の子には今まで目を書いていなかったんですけど…。それはパスピエに合う目が見つからなくて描いていなかった、というのもあるんです。しっくりくるものがなかったというか。浮世絵で描かれている人間って、感情が読めない部分があるじゃないですか。それがパスピエに合ってるんじゃないかなと思って、自分のイラスト風にアレンジしたのが今回のジャケットになっています。色に関しては、“日本の伝統色”が昔から好きだったこともあって、日本画や着物の柄を見てて「すごく鮮やかだな」って思ったことをきっかけに、私も使いたくなってきたんですよ。

――成田さん、大胡田さんが共に“和”をイメージされてますが、これは制作時に共通のテーマとして持っていたものですか?

成田:今回は偶然ですね。僕も「こういう和のテイストでいこう」ってメンバーに伝えたりはしないので、今回のアルバム曲を作って、出来上がったジャケットがこうだったので、「ああ、へぇー」と思って。

大胡田:(笑)。曲から伝わってきたんでしょうね。成田さんのやりたかったことが。

――普段は制作の段階で密なコミュニケーションはとらないんでしょうか?

大胡田:あえてお互いに提示しないって感じじゃない?

成田:それはありますね。提示すればするほど、密度の濃いものは出来るんでしょうけど、出口が狭くなってしまうんで。僕らの強みである多面的な部分や余白は残しておきたいし、色々拡げておきたいんですよね。僕が作る音楽も、大胡田の作る詞や絵も、本当に自由にやってもらいたいと思うんで。

      

「パスピエが語る、新作の壮大なるコンセプト「民族性にフィーチャーした作品を作りたかった」」のページです。>の最新ニュースで音楽シーンをもっと楽しく!「リアルサウンド」は、音楽とホンネで向き合う人たちのための、音楽・アーティスト情報、作品レビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版