tofubeatsに続くのは? 気鋭のサウンドクリエイター達をピックアップ

 サンプラーなどの機材の低価格化やDTM(デスクトップ・ミュージック)の台頭により誰もが手軽に音楽制作を行えるようになった。ここ数年はニコニコ動画周辺におけるCGMも盛り上がりを見せている。そんな中、いま注目を集めるトラックメーカー5人を今回は紹介しよう。ここで取り上げるのはみな10代から20代前半の若き才能たち。ヒップホップやハウス、エレクトロニカなどそれぞれ土俵は違えど、各シーンの今後を担うであろう実力者揃いである。

 まずはご存知tofubeats。次世代トラックメーカーの代表格である彼は平成2年生まれの現在23歳。中学時代からネット上で音源を公開するようになり、高校3年の夏には国内最大級の屋内テクノイベントWIREに史上最年少で出演を果たす。10年に発売されたEP『Big Shout It Out』は口コミだけでiTunes Storeダンスミュージックチャート1位を獲得。2012年にはシングル『水星 feat.オノマトペ大臣』が個人の作品であるにもかかわらずiTunes Storeシングル総合チャートで1位を獲得した。その翌年に森高千里、の子(神聖かまってちゃん)とコラボレーションしたミニアルバム『Don't Stop the Music』でワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビュー。今月30日にはセカンドシングル『ディスコの神様 feat. 藤井隆』のリリースが決定。他にもアイドルグループ9nineやlyrical schoolへの楽曲提供や佐々木希、YUKI、ももいろクローバーZなどのリミックスなど多方面で活躍中。同世代の中でも頭ひとつ抜き出た存在だ。

 続いて1995年の元日生まれ、現在若干19歳のトラックメーカーSEKITOVA。14歳でトラックメイクを始め、2011年には気鋭のネットレーベルMaltine RecordsからEP『Re:商店街ノスタルジカ』をリリース。その翌年には大阪のインディーレーベルMindCircus RecordsからCDシングル『Inverted QualiaE.P.』を発表。同年の暮れには自主レーベルZAMSTAKを開設し、アルバム『premature moon and the shootingstar』をリリースした。初期の作品ではダブステップを中心に幅広い音楽性をみせていたが、キャリアを積むにつれ自身のツールであるミニマルテクノやテックハウスに傾倒。Soundcloudで発表したピアノハウストラック「Fluss」は、日本のみならずドイツなど海外でも高い評価を集めている。

 東京都出身のサンプリングをベースにしたヒップホップ・ビートメイカーBugseed。2010年に心地よい浮遊感と土臭ささが同居するインスト・ヒップホップ・アルバム『Bohemian Beatnik LP』をリリース。同作品に収録された「Travelog」はWiz Khalifaのフリーミックステープ「Taylor Allerdice」でも使用された(なぜかクレジットミスでLAにあるストリートファッション・ブランド「Dope Couture」の名が記載されるという珍事も起きた)。2011年にはYel-owe recordsからリリースされた17歳から23歳のビートメーカー13人(平均年齢19.8歳)によるビート・コンピ『We got it』に参加。その後はRapohnelizenzやCascade Records、Ritmo Sportivoなど海外のコンピレーションに参加する一方、Finest EgoやRitmo Sportivoへのミックス提供など精力的に活動。今年の2月にはPigeondustと共同でスプリットEP『7th Wonder』をリリースした。

 1989年生まれ、神奈川県川崎在住のトラックメーカー、MC、DJであるjjj。RIP SLYMEでヒップホップに出会い、その後DOWN NORTH CAMPやSCARSに影響を受けトラック作りを始める。2012年にFebb、KID FRESINOととも ラップ・ユニットFla$hBackSとしてアルバム『FL$8KS』でデビュー。翌年には年間ベストHIPHOP部門で一位獲得など、HIPHOPシーンの話題を総ナメにした。そのトラックはシンセに80年代コンピの元ネタをサンプリングしたロックの要素を感じさせるアタック感のある作風が特徴。今年の3月には12インチEP『yacht』でソロデビューも果たした。

 1993年1月生まれ、現在21歳のLASTorder。高校2年生のときにDTMで音楽制作を開始し、YouTubeなどに楽曲を公開。18歳にしてMCのShing02にその才能を認められ、2010年発表のシングル『Parallel Universe』のリミックスを任された。2013年にアルバム『Bliss in the loss』でデビュー。その作風はアナログな質感に自然音を織り交ぜた和風エレクトロニカ。同年末にはボーカルを大きくフィーチャーしたセカンド・アルバム『Unreal Dialogue』を24bit/44.1kHzの高音質で無料配信し話題となった。

 以上、tofubeatsを筆頭にこれからのシーンを牽引していくであろう若きトラックメーカーを紹介した。フリーで公開されている音源も多いので、ぜひ一度彼らのトラックを聴いてみて欲しい。
(文=北濱信哉)

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