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宇野維正のチャート一刀両断!

CDチャートには反映されない、史上空前の『アナと雪の女王』旋風

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チャート分析
宇野維正
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参考:2014年3月24日~2014年3月30日のCDアルバム週間ランキング(2014年4月7日付)(ORICON STYLE)

 「♪レリゴオォーレリゴオォー」「♪ありのおぉーままのおぉー」というわけで、今週のアルバムチャートを紹介する前に、このタイミングでチャートの話をするなら『アナ雪』旋風のことに触れないわけにはいかない。本日(4月3日)のiTunesチャートを見てみると、ソングチャートの方は1位が松たか子「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」、2位がイディナ・メンゼル「レット・イット・ゴー」、3位が神田沙也加、松たか子「生まれてはじめて」、5位&6位がMay J.「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」(バージョン違い)、10位が神田沙也加、稲葉菜月、諸星すみれ「雪だるまつくろう」と、実にトップテンの6曲が『アナ雪』絡みという、まるで60年代のアメリカ上陸直後のビートルズ状態。もちろんアルバムチャートもダントツ1位は『アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック』で、6位にも同サントラ(バージョン違い)、10位には「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」収録のMay J.のカバーアルバムがランクインしている。現在日本全国の劇場で歴史的大ヒットを記録中の『アナ雪』。ヒットの最大要因はその歌の圧倒的なパワーにあると言われているが、まさにそれを証明する『アナ雪』のチャート完全制覇(iTunesだけでなく他の音楽配信サイトも含む)である。

 さて、そこでオリコンのアルバムチャートに目を向けてみると。むむむむ。確かに『アナ雪』サントラはジワジワとランクアップしてきて今週は4位、May J.のカバーアルバムも6位に初登場と、それなりに『アナ雪』旋風の痕跡は確認できるけれど……。なんでも、「オリコンで邦洋通じて映画のサウンドトラックが2週連続TOP5入りしたのは10年9ヶ月ぶりの快挙」とのことらしいが、そんなことを「快挙」を言われても、何を今さら眠たいこと言ってるんだというのが正直なところ。ディズニー映画に限らず、日本でここまで映画の主題歌が爆発的に浸透したのは、それこそ20年以上前のホイットニー・ヒューストンの「♪エンダアアアアァァァァ」以来だろう。しかも今回は、松たか子、神田沙也加の日本語バージョンが海外でも話題になるほどの見事な仕上がりで、May J.のカバー曲も合わせて、その相乗効果は史上空前のとんでもない規模となっている。

 そう考えてみると、つくづく「今、世の中でどんな音楽が流行っているか」のバロメーターとしてのCD売り上げチャートの役割は終わったのだということを痛感させられる。多くの人が指摘しているように、現在のCDチャートは「今、どんな音楽が流行っているか」ではなく「今、どんなミュージシャン/タレントに熱心なファンがついているか」を教えてくれるものでしかない。後世にその時代の正確な流行・風俗を伝えるためにも、CDの売り上げ以外の総合的なチャートの整備が一日も早く必要だ。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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